診療所通信
        Clinic News Paper
No.43
2003/2/1

/                 川上診療所
 私が最も信頼し期待している乳がん専門医がいます。随分と前のことですが、大学で乳がんの研究を始めていたころ、彼は新人としてやってきました。まだ検査も手術も、古い体質の時代でしたが、乳がん医療の新しい息吹を感じさせる若者で、私も一緒に仕事をするのが楽しかったです。以来15年、彼は千葉大学の乳がん研究のリーダーとなり、多くの人材を育ててきました。「こんな自分でも、少しは人のために役立つことがしたい」と言います。その彼がこの春に大学を離れます。教育者として研究者としてりっぱな仕事を成し、いよいよ臨床の最前線に出るわけです。医者と患者の関係は、「何かをしてやる」「何かをされた」というような対立的な関係ではなくて、目の前にある病気に対して「いっしょに考えていこうよ」という姿勢を貫いている数少ない大学人です。どんな大病院だって所詮は人がやっていること、どうぞ皆さん、彼のようないい医者とめぐり会って下さいね。
2月、寒いですね。この季節は受験や人事の決めどころ、春に向けてがんばりましょう。

・インフルエンザ情報・・・・今年はインフルエンザの発生が、昨年より早くて多い。千葉市の「地区別発生状況」を昨年と比べてみましょう。()内は昨年の発生数です。今年はインフルエンザだけでなく、胃腸に来るタイプのカゼも多いようです。どうぞお大事に。
12月9日〜 12月16日〜 12月23日〜 12月30日〜 1月6日〜 1月13日〜
1月20日
中央区 3.0 5.2 8.8 1.8(0.0) 24.6(0.0) 43.3(1.0)
花見川区 1.3 2.7 1.5 0.0(0.0) 2.3(0.0) 7.8(0.8)
稲毛区 2.8 2.8 5.0 0.0(0.0) 16.8(0.0) 19.0(1.0)
若葉区 0.8 2.0 4.8 4.5(0.0) 17.6(0.0) 13.4(1.3)
緑区 1.0 3.0 13.5 3.3(0.0) 18.2(0.0) 24.3(0.3)
美浜区 1.8 3.0 9.7 1.0(0.0) 12.0(0.0) 13.5(0.0)


・宮内先生の抗がん剤治療・・・うちにネコ飼ってるんです」「爪の赤いネコだろ」。こんな会話で若い男性がからかわれることがあります。どうやら女性の爪というのは赤いものらしい。マニキュアでもネイルペイントでも、何色の爪のネコにでもなれるのですが、しかし抗がん剤治療中の患者さんは、爪の奥が黒ずんだり、もろくなったり、あまりネコの爪っぽくないようです。脱毛もあるしお化粧もノリが悪くなる、女性にとって抗がん剤の副作用は重大な問題です。しかしウイグ(最近はカツラとは言わないらしい)や帽子バンダナなど頭髪用品のご紹介をすることで、医療従事者は抗がん剤副作用に対するケアをしているつもりになっているけど、お化粧も爪も服装もきれいにしようとする“気持ちのオシャレ”を大切にしてあげることのほうがもっと大事。抗がん剤治療中にきれいにおしゃれをした爪の赤い患者さん、応援しますよ。
宮内先生(副院長)の「ネコ」に関するコメントでした。




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