診療所通信
        Clinic News Paper
No.40
2002/10/28

/                 川上診療所
 小倉恒子先生は15年前に乳がんになりました。その後、骨や肺、リンパや肝臓に病変が出現しました。彼女は今も抗がん剤点滴を続けながら、外来診療をやっています。しかし、たいへんお元気。先生の診察を楽しみに来られる患者さんは少なくありません。ある日、そんな先生をテレビ局が取材に来ました。「自らのがんと闘う女医」を撮るのがねらいだったらしいのですが、先生には悲壮感がない、ということで放送に向いてないらしく、ボツになってしまったと笑っていました。病気に苦悩するのは誰も同じ、でも明るく前向きに自分の人生を生きている「がん患者さん」は少なくありません。むしろそういう人のほうが多いんじゃないかな。がんを特別視するのは好ましいことではありませんね。病気や障害のある人と健常人、老人と子供、男性と女性、そういうことであまり線をひかないほうがいいように思うのですが、いかがでしょうか。
乳がんになった女医さんは私のまわりにも少なくありません。みんな優れた医者として活躍しています。

・お酒に弱い人は要注意・・・・「アルコールと健康についてはいろいろ言われていて、皆さんも少なからず知っていますね。飲み過ぎはいけない、が基本です。お酒と食道がんについての新しい研究がありますので紹介しましょう。お酒にあまり強くない人が、1日に日本酒を1.5〜3合飲んでいると、食道がんになる確率が、約60倍高くなるという報告です(国立療養所久里浜病院などの共同調査)。アルコールに強いか弱いかは、ALDH2という遺伝子の型の違いによって決まると考えられています。このアルコールに弱い型の人は、飲酒によって食道がんになる確率が高く、1日の飲酒量が1.5合以下で6倍、1.5〜3合で61倍、3合以上では93倍にもなってしまうようです。お酒に弱い人、飲んですぐ顔が赤くなる人は、飲み過ぎに注意したほうがいいと思いますね。
日本酒がダメなら、ワインは良いでしょう?とはいきません。同じです。

・産休があけて、復帰して・・・・ 育児も一段落(?)して、久しぶりに診療所で仕事をしました。開院当時もこんな緊張した気持ちだったんですよね。患者さんの数もスタッフの数も増えていて、みなさんのお名前を覚えるのも大変です。私事ですが、やっと1歳になった娘も、最近は一生懸命大人の真似をして、随分人間らしくなってきました。彼女にとってまわりにあるもの全てが遊び道具になり、その自由な発想には笑ってしまうことがあります。脳細胞が未発達な彼女には、私には考えつかないことが思い浮かび、私には見えないものが見えているのかな、なんて思います。昔読んだ本に出てくる“子供にしか見えない妖精”は、案外本当にいるのかもしれないなんて、寝ながら笑っている娘の顔を見ながら、いろいろ想像してしまう今日このごろです。
開院当初からがんばってきた技師の高橋さん、またいっしょに仕事ができてうれしいです。院長




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