診療所通信
        Clinic News Paper
No.37
2002/7/29

/                 川上診療所
 検診の間隔はどのくらいが良いでしょうか。よく聞かれるご質問です。体全体をみる「基本健診」や「ドック」などは、1年に1回が標準的ですね。胃がん検診や肺がん検診なども、1年に1回が推奨されています。日本はこれらの検診がとっても盛んな国です。アメリカやイギリスなどでは、乳がん検診くらいしかやらなくて、他の検診は制度がないようです。こういう公的検診は、その地域の経済力と関係していて、今の日本は2年に1度くらいしか予算が出せなくなってしまったようです。堂本明子千葉県知事とお話ししたとき「乳がん検診は年に2回受けています」とおっしゃっていました。弁護士渥美雅子さんも、「自分の身体へのボーナスだから」と、欠かさず年に2回検診に来られます。お二人とも超多忙なのに、いや忙しいからこそ検診はちゃんと受ける、と心しているのでしょうね。
検診を受けるかどうかは人それぞれの判断。どうせ受けるなら質の良いものを受けて下さいね。

・諸刃の薬「サリドマイド」・・・・この薬の名前を聞いて、どう思われるでしょうか。かつて睡眠薬として世界中で広く使われた薬です。サリドマイドの副作用には、胎児の血管新生を阻害する働きがあり、妊娠初期の女性がこの薬を服用すると、ほぼ確実に奇形児が生まれる。その惨状から、日本では「悪魔の薬」として封印されました。しかし、米国などでは薬害の追跡調査を行い、この副作用そのものに注目し、がんの治療薬として新たに生かす研究が進められています。がんにつながる血管が新しく作られなければ、がんは進行しない、という作用に目を向けているのです。悪い薬を悪いままにしておかないで、長所を見つけようという姿勢は、理性的です。新薬や漢方や民間薬や健康食品も含めて、今はいろいろな薬がありますが、良くも悪くも盲信せず理性的に考えることが大切でしょう。
むかし医者のことを薬師(くすし)と言いました。ヨーロッパでは魔女かな。

・第3回所内講習会・・・・ 当日は大変暑かったのですが、多くの方がいらして下さいました。副院長である宮内先生のお話は、情報にはbenefit(利益)とrisk(危険)が隣り合わせですが、自分自身で理解して選択していきましょうというお話でした。難しいテーマでしたが、スライドなど分かりやすく説明して下さいました。小仲台中学の渡辺校長先生は、ユーモアにあふれた明るい雰囲気のお話でした。水曜午後を休みにしたり、英語放送を毎日校内でながしたり、英語同時通訳つきの全校集会とか、教育の現場もどんどん変化しているんだと実感しました。皮膚科の米田先生のお話は、私たちスタッフも興味津々の紫外線対策のお話でした。みなさんもスキンケアに関心が高いようで、多くの質問が出ていました。それぞれの先生のお話は、知識や情報の詰め込みではなく、プラスαを感じました。これからもこのアットホームな雰囲気を大切に続けて行ければいいなと思います。
もう一度、中学やりなおしてもいいかな。大下 純(臨床検査技師)




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