診療所通信
        Clinic News Paper
No.34
2002/5/1

/                 川上診療所
  診療所には、いろいろな形態があります。医療の質は、一定基準を満たす必要がありますが、個性はさまざま、そこが診療所のおもしろいところではないでしょうか。研究所のような凄いことをやっている診療所もあれば、人里離れた山間の診療所というのもありますね。ここはごく普通の診療所。検診をやったり、手術をしたり、近所の方とお話ししたり、です。この小さな建物の中で年に一度、講演会をやっています。昨年は心臓外科の最先端の話を、私の友人にしてもらいました。今年は仲間の医師以外に、地元の中学の校長先生にお話ししてもらう予定です。来院される方々と一緒に話を聞いたり、生活の喜怒哀楽を共にしたり、そういうことが診療所作りのおもしろいところです。「医療の勉強」も、肩がこらない方がいいですね。興味のある方は、どうぞご来院下さい。
講演会は入場無料です。予約制にしておりますので詳しくは受付にお尋ね下さい。

・N先生のアメリカ甲状腺事情・・・・留学先から先生のお便りをご紹介しましょう。『私の方も細胞増殖因子を見つけたいと実験をがんばっています。ワシントンよりオハイオ大学の方が研究に適しています。こちらは田舎で、先日の夜も仕事の帰りに駐車場に行くとシカが3匹群れていました。アライグマもよく見かけます。ここは梅雨もなく、何処までも続く草原に牛や馬が放牧されている風景をアパートの窓から眺められます。私は大変気に入っていますが、毛虫を始めとする虫の大群に悩まされたり、買い物まで片道100kmのドライブを必要としたり、一長一短です。(略)アメリカの甲状腺ガイドラインを紹介します。35歳から5年に1度、TSH測定により甲状腺機能の検診をする。女性の場合は特に有益だが、男性も必要。(アメリカ甲状腺学会)』N先生は、この夏アメリカから帰国されます。研究の成果を臨床の場で発揮されることを、期待したいですね。
オハイオってあのエジソンの生まれ故郷だったんですね。私は知りませんでした。

・初めまして、診療放射線技師の大原成美です・・・ 皆さんはマンモグラフィ検査の時、「被爆」が気になりますよね。もしも30歳から毎年40年間、検査を受け続けても平均余命への影響はわずか0.6日です。乳がんを早く発見して命を救うメリットの方が、はるかに高いと世界中の専門家たちは考えています。また、私たちは太陽からの放射線を毎日「被曝」しているのですが、この自然放射線の量は地域によって違います。日本では、最高が岐阜県の1.19mSv/年、最低が神奈川県の0.81mSv/年で、世界最高はインドのケララ地方の28.1mSv/年です。このように自然放射線の強さが地域によって大きく異なるのに、住民の健康への影響はまったく認められていません。マンモグラフィの放射線量は自然放射線の地域差に比べてずっと小さいのです。アメリカでは妊婦さんも検査を受けるそうですよ。
私の大学は那須にありました。那須のお勧めはニキ美術館です。ぜひ行ってみて下さいね。




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