診療所通信
        Clinic News Paper
No.32
2002/2/26

/                 川上診療所
 世界がもし100人の村だったら」という絵本がありますね。100人の村人のうち、52人は女性で、48人は男性。村人はアジア人が61人で、ヨーロッパ人は12人。「75人は食べ物の蓄えがあり雨露をしのぐところがあります。でも、25人はそうではありません。17人はきれいで安全な水を飲めません」。優しい挿し絵と共に、説得力のある数字が語りかけてきます。村上龍さんの「あの金で何が買えたか」という本も、生き生きした数字に心が動かされます。世界中でビタミンA不足によって失明する2億人以上の子供たち、その救済費用は20億円。一方、航空母艦1艘の建造費は9000億円、だそうです。乳がんは日本女性で一番多いがん。マンモグラフィは触診の3倍多くの乳がんを発見できる。数字は何を語るでしょうか。人の一生は365×80日ほど。多いような、少ないような、ですかね。


・ブレストサービス・・・・わが診療所の副院長、宮内先生は「ブレストサービス」という会社を開いています。医療と会社、何かピンとこない人もいるかも知れませんね。この会社では、乳がんに関する医療情報の提供、という仕事を主にやっています。新聞・雑誌テレビに限らず、医療情報は一見あふれているようですが、われわれプロから見ると、どうも変なことがいっぱいです。こういうことを整理する所が、日本にはまだほとんどない。情報は、お金にならないから、企業も大病院もほとんど何もしないようです。「採算なんかとれないだろうが、がんばってやろうよ」と彼といつも話します。ブレストサービス社でホームページを立ち上げました。どうぞご覧になって下さい。また、わが診療所の看護婦、阿部さんが、相談部門を担当しています。本当に開かれた医療は、口先だけではダメです。行動あるのみ、と思うのですが。 
ブレストサービスのホームページ http://www.breast-service.com

・がん予防のための食生活14ヶ条・・・・ これは「米国がん研究財団」がまとめたものです。世界のがん発生のうち、300万人は食事などで予防できると強調されています。知っていそうでよく分かっていないところもあると思いますので、少しご紹介しましょう。主食は「精製度の低い」デンプン質が良い。野菜は一日400g以上を食べる。塩分は一日6g以下。肉類は一日80g以下。脂肪は総エネルギーの30%以下。飲酒は一日1杯以下。栄養補助食品は、がん予防に役立たない。だそうです。食事以外の項目について見てみましょうか。運動について、一日1時間の「速歩」を行い、1週間に合計1時間は強度の運動を行う。体重については、体重kg÷身長m÷身長m=25以下を保つ。体重増加は5kg未満まで。これらはアメリカの、いかにもという感じの基準ですが、日本では昔、宮沢賢治先生もこのような生活をしていたような気がします。日本的生活、悪くないようですね。
今月の通信は、数字の話題が多くなってしまいました。次回は詩的なテーマ(?)を取り上げたいものです。




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