診療所通信
        Clinic News Paper
No.28
2001/10/30

/                 川上診療所
 秋も深まって来ました。紅葉を眺めながら、温泉にでも浸かって、自然の中をのんびり散策、なんていいですね。温泉は血行を良くして、神経や筋肉の疲労をほぐしたり、何よりも精神的によろしいんじゃないでしょうか。映画『千と千尋の神隠し』では、不思議な風体の神様たちがたくさん出てきます。その神様たちが、普段の疲れを癒すため、湯バーバの経営する温泉館にやってきます。水の神様は、人間が汚した川をきれいにして、自分はヘドロだらけになってしまって、それを湯屋に落としに来る、というわけです。私たちの日本には何せ八百万の神様たちがいて、みんなで力を合わせて私たちを守ってくれているんだよ、なんと幸せなことでしょう・・・。てなことを、小学1年生になる娘と話しながら、ささやかな休日を過ごす今日この頃です。皆さん、この季節どうお過ごしですか。
映画を見に行ったのは今年2回目。1回目はピカチューのセレビーでした。

・ビタミンCは足りてますか?・・・今回はビタミンCについて少しお話ししましょう。ビタミンCには、「活性酸素」を減少させる働きがあります。この活性酸素が、遺伝子を傷つけると考えられ、がんや心筋梗塞や脳卒中の原因の一つと言われています。活性酸素は、運動やストレス、喫煙、飲酒などによって増加し、これと戦うビタミンCは減少してしまいます。「サプリメント(栄養補助食品)を飲んでいるから大丈夫」という方もいるかも知れませんが、ビタミンCは一定量以上は体内に貯蔵できないため、たくさん摂っても無駄になってしまいます。一日に同じ量を摂るとしても、1回で摂るより、3回に分けて摂取する方が効率が良いようです。また、空腹時よりも、満腹時の方がより多く吸収されます。食後に果物などデザートを食べることは、ビタミンC補充の点からも、理にかなっているわけですね。
あと、ビタミンCは「お肌に良い」のであります。

・患者さんからのお便り・・・・ 乳がんが分かってから1年半、診療所2階の本を何冊も借りました。最近読んだのは、『よってたかって目の勉強』。「おすぎとピーコ」のピーコの悪性黒色腫をめぐり、永六輔が編集した本です。本人の記録のほか、『徹子の部屋』、手紙など多岐に渡っており、どこからでも読み始められます。死ぬことは怖くない、と言うピーコに「かわいくないことを言うもんじゃないよ! みんな君のことを心配しているのに」と永六輔にしかられた、などとピーコを取り巻く人々の、それも私たちがテレビなどでよく知った人々の、暖かさがひしひしと伝わり、何度も鼻の奥を熱くして読みました。それから、忘れてならないのは川上先生の『バングラデシュの記録』です。「患者にとっての良い選択」を考える先生の気持ちが伝わってきて、しみじみと「この診療所とめぐり会ってよかったなあ」と思わされる1冊です。
憂いや悲しみは、フタをしたって隠せはしない。でもバングラデシュの空はどこまでも澄んでいましたよ。


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