診療所通信
        Clinic News Paper
No.14
2000/9/1

/                 川上診療所
 私の友人にセティ・マヤさんという人がいます。16才の時に、遠くヒマラヤの麓ネパールから日本にやってきて、今はレストランを営む二児のママです。お店はエスニックでたいへんエキゾチックな雰囲気。僕の好きなメニューは、ほうれん草のソース(深い真緑色)のかかった豆腐料理、水餃子風の香草スープ、鶏肉のピリカラネパール風あえ物などで、みな絶品です。週末には幼児ともどもおじゃまするのですが、当然、店内はおしゃれな紳士淑女が大半。肩身の狭い思いをせずに済むのは、マヤさんの人柄と息子リュウ君の存在です。店の片隅で「今度は僕の番だよ」とか言いながら、わが子たちと遊んでくれます(そしてパパたちは閉店まで杯を傾けて!)。「医食同源」という言葉を知っていますか。おいしく楽しく食べることで、医者いらず。・・・そんな意味でしたっけ?
チルチルミチルが探し求めた幸せは、結局身近な所にありました。皆さん、憩いの場をお持ちですか。院長

・患者さんからのおたより・・・ 私が自分の乳がんを告げた時、友人たちの驚きは私の想像を遙かに越えたものでした。電話の向こうで言葉を失ってしまう友人たちを、かえって元気づける羽目になったほどです。生来の性格で、あっけらかんとオシャベリしてしまった私。その後あちこちから届く励ましの電話や手紙に、どんなに勇気づけられたことでしょう。18年間活動を続けている仲間からは、額に入ったキルトが届きました。そこには15人の名前が刺繍されており、市外や県外に引っ越した人にまでリレーされ、一人一人が刺してくれたものでした。カードには「全快を祈る気持ちを一つにまとめたこのバスケットキルトは、どんなお守りより効力があると信じています」と書かれていました。入院前も手術前も退院後も、悲しんだり不安になったりするよりも「応援してくれる人がこんなにたくさんいてくれて、私ってなんて幸せ者!」と感謝の気持ちばかりでした。放射線治療も春の花が咲いていくのを楽しみに通院し、パート復帰の日は、桜が満開でした。以前先生が「病気は時として人を幸せにすることがあります」と書かれていましたが、まさにその通りの体験をしました。今では友人から、私を見ていると病気になっても大丈夫と思えてくるわ、と言われています。
 K.F.さんのおたよりです。皆さんからの投書お待ちしています。

・夏休み、どう過ごされましたか・・・ 私はこの夏、岩手県盛岡に里帰りしてきました。両親の郷里であるこの町には、お盆に「四十八とり」という風習があります。48本のロウソクを十字架に似た木枠に立て、全ての炎が消えるまで皆で見守ります。途中で来た客は、必ず1本消して火を付け直します。その起源は知りませんが、旧街道沿いの家々の軒下でチラチラ揺れる炎の様子は、それはそれは神秘的な光景です。実家で母とお盆を迎える準備をしながら、年に一度、仏様をお迎えしまた送り出す夏のこの郷里の習慣が、今年はとても美しく感じられました。
残暑お見舞い申し上げます。  藤井美保(医療事務)

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