診療所通信
        Clinic News Paper
No.118
2009/5/1

/                 川上診療所
 乳がん検診のマンモグラフィと超音波検査について、「どちらが良い?」という質問をいただきました。さて、答えが難しい質問ですが、ちょっと考えてみましょう。千葉県のデータを見ますと、マンモグラフィは82%、超音波検査では87%の発見率です。これは全年齢に対しての数値で、細かく見ると年齢によって違いがあります。40才代と50才以上で比較すると、マンモグラフィでは、全年齢で82%だったものが、40才代では76%まで下がり、50才以上では86%に上がります。閉経前後でマンモグラフィのがん検出率が異なるということです。全国規模の調査で「40才代では3割がマンモグラフィで見逃される」との報告もあります。これは、欧米人と比べ、高濃度乳腺が多いため乳がんが写りにくい、ということが要因のようです。一方、超音波検査では年齢による差がありません。さらに、乳がんの発病年齢を見ると、欧米諸国は閉経後の乳がんが圧倒的に多いのに対し、日本では40才代後半にピークがあります。閉経前の割合が多いということが日本を含めたアジア地域の特徴です。「40才代に適した検診方法は何か?」を考えると、マンモグラフィに超音波検査を加えることがよりよいと思います。マンモグラフィにも超音波にも弱点がありますので、それを補いながら検診するのが望ましいと言うことですね。
今回はちょっと文章が硬かったかも知れません。ご容赦下さい。

  受診者数 要精
検率
がん
発見
者数
がん
発見
胃がん 4,262,048 10.04% 6,548 0.15%
肺がん 7,506,113 2.81% 3,516 0.05%
大腸がん 7,176,312 7.27% 12,285 0.17%
子宮がん 3,538,132 1.14% 1,921 0.05%
乳がん 1,892,834 8.56% 5,190 0.27%
がん検診の実施状況・・・・厚生労働省が発表した平成19年度がん検診受診者数および発見率のデータを示しました。受診者数を見ると、乳がん検診の受診者数がもっとも少ない。一方、発見率は乳がん検診が一番高くなっています。触診だけの検診では発見率は低かったのですが、マンモグラフィや超音波による検診が普及したために発見率は高くなったと思います。上欄にも書きましたが、質の良い検診を定期的に受けて下さいね。

よろしくお願いします・・・・新入職員の鈴木です。4月から川上診療所の一員になりました。院長と副院長(宮内先生)との出会いは18年程前、お二人が千葉県がんセンターと千葉大学に勤務されていたころに、超音波の研修でお世話になりました。当時も、患者様から絶大な信頼を得ていて、周囲にはいつもファンがいっぱい(*^o^*)。その後は上司と部下として検診のことなど多くの事を指導していただきました。そういえば……お二人とも音楽が好きで、今では想像もできないでしょうが、バンドを結成しギタリストとして大活躍でした。ライブでは沢山の花束(?)。 私は新入職員なのに、お二人の「ネタ」には人一倍豊富です(^_^)v(昔からいろいろな相談にも答えてくれて、今も頼りになるお二人です)。そして開業なさって10年を迎える今年、私は縁あって川上診療所で勤務することになりました。皆さん、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
何を言い出す事やら、ハラハラドキドキの院長と副院長です。

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