診療所通信
        Clinic News Paper
No.117
2009/3/31

/                 川上診療所
 新年度が始まりました。私の後輩たちも、留学したり病院勤務先がかわったり、いろいろな人事異動がありました。人事にはエンのない私ですが、春はやはりウキウキした気分になりますね。橋本先生の愛犬バーニーズマウンテンはサクラという名前です。つい最近、かわいい子犬でやって来たばかりと思っていたら、今では4才のりっぱな成犬となり、彼にとってはかけがえのないパートナーに成長しました。「いやされるし、本当に伴侶ですよ」と彼は言います。そうか・・・じゃボクも・・・と思案しているうちに、なんと我が家ではネコを飼うことになりました! それも2匹。準備をしたり、名前を考えたり、予防接種とかあれやこれやバタバタして、これも一種の人事異動でしょうか? 新しい生活のスタートは、こんなところにもあるわけですね。皆さん、どうぞ良い春を迎えて下さい。
わが診療所のスタッフは犬好き猫好きが多くて、お舅さんがいっぱいです。

アフリカから帰って(宮尾先生)・・・みぞれ混じりの冬の雨も、やがて来る春の樹々の芽を膨らませるためと思うと肌をさす冷たさも耐えられる気がします。毎日の小さな出来事ひとつひとつも四季の変化に伴なって微妙な意味合いを加えてゆきます。こうして季節の移ろいは、長い時をかけて日本人の心に細やかなひだを形づくってきたのでしょう。夜のしじまに雪の降りつむ音を聴いたり、氷のきしみに春の兆しを感じたり、桜の花びらの散るのを見て儚さを感じたり、蛙が水に飛び込む音や、真夏の蝉の声に静寂を感じたり、季節が日本人の心に細やかで豊かな想像力を育んできたのです。アフリカで、「日本というのはどんな国?」と聞かれて、四季の変化が美しい国、と答えました。タンザニアには雨期と乾期の違いはありますが四季はありません。自然は豊かですが強烈でもあります。ザバッと降る雨のあとにカッと照りつける太陽、成長の早い樹木と原色の花々、土から生まれて土に還るという人の命の在り方が単純に自然に受け入れられます。どちらがいいのか、一概に比較できませんが、豊かな感性を育むしくみが四季折々の自然に含まれているとしたら、身近な小さな草木もそれをゆする街の風もひときわ愛しく感じる今日この頃です。
宮尾先生は、外見はさておき、感性は芭蕉みたいに繊細なんですね・・・。(院長)

アフリカのバオバブの木 生まれたばかりの赤ちゃんを抱くお母さん

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