診療所通信
        Clinic News Paper
No.107
2008/6/1

/                 川上診療所
 私が千葉県がんセンターに赴任したのは、今から20年前。当時の乳がん手術件数は年間、約50人。10年たてば500人以上もの患者さんと関わるわけで、心して気合いを入れてがんばらなければいけないと、その当時、誓ったものです。それから時は過ぎ、現在、千県がんセンターでは、1年に約300人もの方の乳がん手術が行われています。多くなりました。患者さんも医療者も大変です。日本で一番多いと言われる癌研有明病院では、年間約1000人の乳がん手術をするそうです。凄いです。一方、世界を見ると、ミラノにあるヨーロッパがんセンターでは、昨年はなんと4500人の乳がん手術が行われたそうです。多ければいいと言うわけではもちろんありません。日本の医療から学ぶことも少なくないと考えている他国の医師もたくさんいます。お金を払えばいわゆる「いい医療」が受けられるという国と、国民皆保険の日本とでは大きな違いがあって、その善し悪しは一般論では語れないでしょう。では、私はどうかと言えば、やっぱりこれからも診察室の中からその答えを探して行きたいと思っています。
4500人の手術って、私にはSF小説のように思えます…。

「健康の秘訣」A.N雄(64才)さんからの投稿です・・・「メタボリック・シンドローム」という言葉が巷に氾濫しています。健康器具や食品などの売上げも好調とか。かくいう私も数年前のサラリーマン時代はメタボ代表選手。誰かのキャッチフレーズではありませんが「何とかせにゃいかん!」と、それまで見向きもしなかった地元自治体広報紙を見て「いきいきサポート倶楽部」なる教室に参加し1年後には体重10キロ減、見事メタボ脱出に成功したのでありました。そこからは一瀉千里、研修を受け今ではお年寄りに体操を教える立場になりました。でもある時、見学していたブラジルのお役人たちの感想に一同ガーンとショック。「皆さんの活動はとても素晴らしい!でも楽しむ要素が欠けています!」そう言いながら立ち上がり、我々超真面目メンバーと握手、ハグ(抱擁)しながら軽やかなステップで踊り始めたのです。目から鱗、苦しくて涙して改めて悟りました。「健康づくり」とはまずは楽しむこと。そして初対面でも笑顔でハグすること!? 川上先生今度お会いするときはハグしましょう。でも先生は院内での実行は無理かも、です。
そうですね…。ちょっと、考えておきます。(院長)

増田先生のコラム・・・暑くなってきましたね。夏になると、ついつい「暑い、暑い」と口にしていませんか?心理学では、つまらなくても「楽しい」と声にし、悲しくても笑うと、人はそういう気分になると言われています。つまり「暑い、暑い」と言っていると暑さが増してしまうんです。以前、「忙しい」が口癖の看護師さんと一緒に仕事をしたことがありました。彼女は明るく気さく、人気者になる要素を沢山持っていましたが、大きな声で「あーっ、忙しい、忙しい」と言って歩くので、患者さまは遠慮して声がかけられませんし、一緒にいると忙しい気分になってくるし、とにかくくつろげないんです。私達も知らないうちに、そんな言葉を口にしていませんか?そして、その何気ない発言に周囲の人を巻き込んでいませんか?かつて読んだ本の主人公が「雑用ばっかり」と愚痴をこぼしていると「貴方が雑に用をたすから雑用なんです。どんな小さなことも心をこめてすれば雑用はないんですよ」と注意される場面がありました。同じ仕事を雑用にしてしまうのもしないも自分次第。神さまから言葉を話す知恵と声をいただいた私達、言葉を大切にし、周りを幸せにする言葉を口にしていきたいですね。
いつもながら、おっしゃるとおりです。(院長)

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