診療所通信
        Clinic News Paper
No.105
2008/4/1

/                 川上診療所
 春、新しい季節がやって来ましたね。宮内先生の息子さんが高校を卒業しました。私に話してくれたその時の感想はとても新鮮でしたので、今日は宮内先生の話を紹介しましょう。『…実は自分が、高校の卒業式に出席した記憶が全くなかったのです。おそらく大学がほぼ決まっていて中途半端な安堵感から、心ここにあらずだったんだろうと思います。だから息子の卒業式なのに、自分が卒業生になったような気分でした。32年経った今、ようやく自分も卒業できたような気がしています。ここ数ヶ月、子供の受験のことで、当時の自分に重ね合わせていろいろなことを思い出しながら過ごして、僕にとっても本当に良い経験をさせてもらいました。壇上で祝辞を話すこと自体は緊張しませんでしたが、終わってから身体が震えていました。それにしても、若い子達は本当にいい目をしていますね。僕は仕事柄、大学卒業直後の若者に講義をすることがありますが、そのときにも同じ「目」を感じます。真剣にこちらを見ているし、きっと話していることが白い砂地にしみ込むように、彼らの中に吸収されるのでしょう。本当に若い人は、いいです。愛しいです。自分の子供でなくても、本当にかわいいよって思います…。』
宮内先生、県立千葉高PTA会長の責務、ご苦労様でした。

入院にかかる負担額・・・・ 厚生労働省のデータベースに平成18年度の社会医療診療行為別調査の項目があります。主要ながんについて入院にかかる診療報酬を参考に自己負担額を表にしました(自己負担は3割で計算。保険外の差額ベッド等の費用は含みません)。乳がんの場合、約20万円です。ちなみに米国では1日入院の虫垂炎手術でも200万円程度かかるそうです。

増田先生のコラム・・・私に大きな影響を与えてくれたある患者さんが亡くなられて8年。おいしい林檎を送ってくださった彼女のお父様は80歳を越えていました。先日、そのお父様の訃報が届きました。彼女のお墓参りに行った時、何も持たない私にお線香やお花を用意し改札口で待っていてくれた…。もう広島に行っても待っていてくれる人がいない…ポッカリ穴が開いたような悲しさに涙が溢れました。会う機会もほとんどなかったのですが、お父様がいることで随分私は慰められていたと気づきました。ある日突然襲った病に、入退院や手術を繰り返していた彼女が「手術が終わり、目を開けるとそこに父がいて、話や何かをするわけでもないけれど、父はいつもいてくれた。父の姿を見て、また安心して眠れるんです」と話してくれました。私達は何かしてあげることばかり考えがちです。夢中になるあまり愛情を押しつけていることまであります。けれど、愛する人が必要としたときに帰れる場所、頼れる場所として変わることなく存在する、そんな愛し方もあるのではないでしょうか?もう一度、あの改札口で私を待っていてほしいです。
祐有子先生のお話しはいつも優しいですね…。(院長)

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