診療所通信
        Clinic News Paper
No.102
2008/1/1

/                 川上診療所
 新年おめでとうございます。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。私は・・・、とその前に海外医療協力でアフリカに行っている宮尾先生からメールが来ていますので、まずはそれを紹介しましょう。「ここNdala村はタンザニアのちょうど中央あたりにあります。とても小さな村で、周りには広大なアフリカの原野が広がっています。隣の村とは90kmも離れています。水道はなく水は雨水を使います。今は真夏の季節で日差しは強く照りつけますが、標高1200mの高地にあるため、夜は寒いくらいです。ここに来て始めの2週間ほどは心理的にも落ち着きませんでしたが、今は一日に数人の手術もやります。骨折した赤ん坊の手術、帝王切開、何でもやります。やらないわけにはいきません。日本人は私一人です。医者も私一人だけです。現地の人々は私を暖かく迎えてくれて、だから少しずつスワヒリ語を覚え、シロアリ料理にも慣れてきました・・・」。さて、院長としての私から皆さんへの年初メッセージは・・・、「私は今年もこの日本にいますので、どうぞご心配なく。」です。


乳がん検診の増加・・・・右の表は千葉県がん検診センターが行っている乳がん検診の動向です。平成10年からマンモグラフィによる集団検診が開始されました。年々、受診者数は増えています。県別の受診者数では、千葉県は4年連続で日本一位です。またエコー(超音波)集団検診は平成14年から開始されました。マンモグラフィで写りにくい若年者の乳がんの発見に、大いに寄与しています。


増田先生のメッセージ・・・・鎌倉時代末期の人、兼好法師が『徒然草』の中で「命長ければ辱(はじ)多し、長くとも四十路に足らぬほどにて死なんこそ、目やすかるべけれ」と書いています。40歳をもって長寿と考えて生きていた人々と比べて、今はその二倍近い寿命を享受する時代です。人生は長いという感覚から、大切な一日を無駄にしてしまい、長く生きても半分の濃度の人生になってしまってはいないでしょうか?あるアメリカの女性が、日本の女性は食事の用意には時間をかけるのに、食卓での会話は用意しないんですねと言ったそうです。大往生と言われますが、私の祖父も祖母も突然亡くなってしまいました。亡くなってから、あのときの食事と会話が最後だったと知り、なんでもっと大事に、ゆっくりと過ごさなかったかと後悔しました。エレベーターに乗ると、行き先の階数を押した次の瞬間には、当たり前のように『閉』を押している自分がいます。寿命は二倍に延びたというのに、なんて忙しなく生きていることか、一瞬一瞬を大事にしていないことか、と反省します。統計学上では平均80歳ですが、自分にはその時間がないかもしれないことを認識し、一期一会の気持ちをもって生きていけたらと思います。

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