診療所通信
        Clinic News Paper
No.10
2000/5/1

/              川上診療所
 5月。爽やかな季節ですね。もうすぐ診療所も開設1周年を迎えます。少しは役に立っているのだろうか、つらつら考えるに反省することいっぱいです。わが診療所の理念は「人々と共に」(Go to the People,and Live with Them.)という老子の教えです。いささか古くさいようですが、医療の基本はそういうものだと思うのです。幸い、外科・内科・婦人科・乳腺科などの心ある若手の先生方が診療に参加して下さり、これからこの診療所も、もっと良くなるだろうと期待している今日この頃です。2階の書籍や資料も、少し増やしました。貸し出しはどなたにでも致しますので、どうぞご自由にご覧下さい。
(それにしてもこの季節、のんびり旅行でも行きたいものですなあ・・・。連休なし院長のひとりごとでした。)
・がん検診は有効か・・・この診療所を始める前、私は千葉県対がん協会検診センターで仕事をしていました。「触診だけに頼っていては、早期の乳がんは見つからない」。県や市町村、多くの先生方を説得して、千葉県初のマンモグラフィ検診バスを集団検診に導入しました。4年前のことです。初年度は県内49市町村のうち8市町村での試験実施でしたが、昨年度は31市町村にまで増えました。来年からは千葉市でも実施できるようになるでしょう。この数年の間に、早期がんの発見率が格段に良くなってきています。新聞やテレビに数字が発表されるのは、何年も先ですが、多くの方々の知らないところでの地道な努力が、これから実を結んで行くことでしょう。結果として、日本でも日帰り乳がん手術が、現実のものとなってきています。医療費も削減できるし、後遺症も少ないし、新しいがん治療が始まる・・・・そんなこんな、考えごとの多い今日この頃の私です。  (川上)

・私の地道な努力・・・ 検査技師の私は、院長の命令もあってよく学会や会議に出席させられます。「何事も勉強」ではありますが、この季節は学会で発表する機会が多く、その台本(?)作りに励む毎日です。まず抄録(発表内容を要約した文章)を作るのですが、これがまた大変な労力を要する作業なのです。膨大な資料と統計をアタマにたたき込み、ぶ厚い文献を両手に作文、今度はそれを「起承転結」に構成します(学術系の論文では、起;発表動機、承;動機の原因と一般状況、転;研究方法、結;結果と結論)。これをもとに誰が読んでも分かるような、かつ説得力のある文章を完成させていくわけですが、この間にも推敲と修正を何度も繰り返します。こうして出来上がった抄録は、私の血と汗と涙の結晶なのです。それを院長はあっさり「書き直し」とか言い放つのですよ。良い論文は、会うことのできない遠くの技師さんや先生方にも納得されて、結局、患者さんたちにとって良いことにつながるのだ、と今は思うのです。

今回、三度は泣いた 小坂英子(臨床検査技師)

NEWS:「婦人科相談外来」を開設いたしました。詳しくは受付にお問い合わせ下さい。

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