診療所通信
        Clinic News Paper
No.8
2000/3/1

/              川上診療所
 「障害は不便である。しかし、不幸ではない」というヘレン・ケラーの言葉(『五体不満足』より)は、なかなか深い言葉です。ところで人は何らかの不具合があって、医者の所へ行くことが多いようですが、不幸を感じて医者の所へ行く人は少ない。きっと医者は人を幸せにする力がないのでしょうね。だけど病気は、時として人を幸せにすることがあります。医者を長くやっていると、そういう体験をすることがしばしばです。病気は一方的に悪じゃないよ。うまく付き合いなよ。そう思うときがあるのですが、皆さんはどう思いますか。3月は年度末、試験も終わって、新学年を待つ、春になれば新しいことができるかもしれない、もうひとがんばりしてみるか・・・。春はもうすぐですね。

・アメリカの医療と日本の医療
  私の仲間はよくアメリカやイギリスに医療視察に行きます。新聞や雑誌とはひと味違う内側から見たナマの医療事情を、彼らから聞くことができます。すばらしく勉強家の医師やスタッフ、病状の説明も詳しく、医療情報はふんだんで、入院日数は短く、なによりも患者をちゃんと人間扱いする・・・などなどの美点。それとは裏腹に、お金のある人から順番に診察する、病気の説明はまず掛かる費用から始める(がん治療費は資産が無くなるほど掛かるそうですよ)、そういう厳しい現実もあるようです。日本も外国も、医者はいろいろです。夜勤当直あけの医師は、翌日休みではありませんし、手術は経験年数を問わずどの医者がやっても同費用です。知っていましたか。医者のことをもっと身近に感じていただければなあと思う今日この頃です。               

・今年の花粉症は例年の10倍!
 このところ、マスクを付けて来院される方が増えています。「風邪ですか」と尋ねると「花粉症で・・・」と、とてもつらそうです。今年は、花粉症が例年の10倍くらい多いと予想され、今までかかったことのない人でも、突然なるかもしれません。実は私も、4年前から花粉症に悩まされているひとりです。  対策は、花粉を吸わないのが一番。マスクやめがねを着用して外出すること。外出後は、家に入る前にコートをよく払い、うがいと手洗いをすること。洗濯物は外に干さないこと。などです。最近は、眼病予防のための眼を洗浄するグッズもあるので、試したところ効果ありでした。飲み薬も新しい予防薬が開発されたようです(ただし症状が出てからではダメみたいです)。あと1ヶ月くらい、このかゆみとお付き合いしていかなければなりませんが、それは春が近いという証拠ですね。来年は予防薬を試してみます。
日比野起三子(医療事務・受付)
猫が好き。動物占いではひつじです。

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