2023年1月28日(土)第22回ももはな会をZOOMにて開催しました。
今回の講演は「末梢神経障害ってなあに?」をテーマに、千葉大学脳神経内科 澁谷和幹先生が講演くださいました。
末梢神経とは何かという基本的なことから抗がん剤と末梢神経障害の関係、日常生活の工夫まで、私たちの知りたい情報を教えてくださいました。講演の後には質疑応答の時間を設け、私たちの疑問にも理解しやすいようにひとつひとつ丁寧にお答えくださいました。
澁谷先生、ご多用のところ講師をお引き受けいただきありがとうございました。
講演会の後は、茶話会を開催しました。茶話会も、講演会のテーマであった末梢神経の話題を中心に行いました。30分という短い時間ながら皆様のお話をライブで聞くことができる貴重な時間となりました。
総勢39名の参加者の皆様、ZOOMでの講演会でしたが、ももはな会に参加くださりありがとうございました。

【Agenda】
・末梢神経とは
・抗がん剤と末梢神経障害
・化学療法誘発性ニューロパチーの診断・評価
・化学療法誘発性ニューロパチーの治療・対応

(講義の内容 一部抜粋)
末梢神経障害の症状
運動障害:筋力低下、筋委縮
感覚障害:しびれ、痛み、感覚鈍麻、脱出
自律神経障害:排尿・排便障害、起立性低血圧、発汗障害、不整脈
いつから、どこに、
どのような症状がありますか?
乳がん:主な化学療法
・ドキソルビシン
・エピルビシン
・シクロホスファミド
・カペシタビン
・ドセタキセル ・パクリタキセル (タキサン系)
・カルボプラチン  (プラチナ系)
化学療法誘発性ニューロパチーリスク因子
・糖尿病
・アルコール依存
・非アルコール性肝障害
・低栄養
化学療法誘発性ニューロパチー:検査
・採血
・脳脊髄液
・筋電図
・神経伝導検査
化学療法誘発性ニューロパチー評価 Grading(CTCAE v4.0)
抗がん剤の種類により、
末梢神経障害の種類や症状が
出る場所など、異なります。
末梢神経障害のリスク因子としては糖尿病、アルコール依存等があります。
検査にて評価し、必要に応じて治療します
化学療法誘発性ニューロパチー:治療
痛みや痺れの強い症状が長く続いてしまうと症状の改善が難しくなります。
症状は早めに対処することが大切です。症状緩和するための薬剤がありますので、主治医にご相談下さい。
現時点では、神経早期回復治療はありません。将来的にはIPS細胞などの再生医療が期待されています。
化学療法誘発性ニューロパチー:生活
温度がかわることによって痛みや痺れが強くでることがあります。
寒い時期は靴下をはくなど温度変化を少なくするように工夫をしましょう。

運動神経が障害されている場合は、転びやすかったり階段でつまづきやすかったりします。杖を使用したり、階段では手すりを使用しましょう。痺れが強い時は、ボタンなどが留めづらくなります。ボタンの変わりにファスナーを利用する、自助具を利用するなど工夫をしましょう。
感覚神経が障害されている場合は、温度が感じづらくなっています。湯たんぽを使用する時などは低温やけどに注意しましょう。

バランスの良い食事をとり、アルコールを控えましょう。ビタミンはサプリメントでは無く、食事から摂取出来るよう心がけましょう

リハビリは有効です。体を動かし電気信号を伝えてあげることが大切です。積極的に体を動かしましょう。

国内の全がん罹患者予測数は100万人といわれております。
そのうち抗がん剤使用率は30%とされ、化学療法誘発性ニューロパチー発症者数は95,000人と推定されており、患者数は多いです。
痺れ、痛みはがまんせず、主治医に相談しましょう。
早めに治療をおこない、バランスの良い食事・適度な運動を心がけ、病気をしって適切な生活を送りましょう。


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