2022年10月29日(土)第21回ももはな会を開催しました。
今回は『ホルモン療法のアンケート』について椎名先生と安川さんが講演下さいました。参加者は総勢37名。開催にあたり、約2ヶ月間ももはな会会員及び井上記念病院と川上診療所の外来患者さんにアンケートのご協力を頂きました。本当にありがとうございました。集計作業は椎名先生が丁寧に確認しわかりやすく講演資料としてまとめて下さいました。
参加頂いた皆さんから、「治療により様々な副作用があること、それに伴う悩みを知ることが出来て勉強になった」「治療・副作用で辛い思いをしている方が他にもいらっしゃることを知り、自分も頑張ろうと思った」「アンケート結果で励まされた」「治療で辛い思いをしている方がいたらその気持ちに少しは寄り添える事が出来そうと思った」など、たくさんの前向きなお声を頂戴しました。また、茶話会にご参加頂き、「皆さん笑顔でご自身の治療の話をされていた姿を見て素敵だったし元気を頂けた」など、皆さんのご期待に添えた会になれたことを嬉しく思いました。今後も満足頂ける企画をしていきたいと思います。

〔講演内容〕
アンケート主旨:乳がんホルモン療法による副作用等、現状把握を行い、今後のホルモン療法のあり方を検討するために実施する
アンケート実施方法:「ホルモン療法あり」「ホルモン療法なし」「乳がん既往歴なし」の3種類を用意、ももはな会会員様、井上記念病院乳腺外科外来・川上診療所外来受診者様にご協力頂き約2ヶ月間実施いたしました。
アンケート概要
ホルモン療法の副作用・症状について行ったアンケート結果
症状が多かった事例を抜粋してご報告いたします
ホットフラッシュ
40%近い発現率で数ある副作用の中で最も高かった。軽い症状が多かったが、「ホルモン療法あり」の群では数年症状に悩む人の割合が多かった。
タモキシフェン内服で頻度が高く、LHRHアナログ(リュープリンなど)を追加すると発現率が高くなった。
7人が漢方を処方され、効果を感じたのは1人であった。
関節の痛み
30%を超える発現率で2番目に多かった。中等度以上の症状が半数近くあり、ほとんどの方が数カ月から数年悩まされる。アロマターゼ阻害薬で発現率が高かった。
関節の痛みが出現した部位
関節の痛み(部位別頻度)
手や指に約40%出現が見られた。その他は膝や足に多かった。対処として7人がロキソニン、セレコックス、カロナールなどの消炎鎮痛剤を使用し、4人が効果を感じたと回答している。
関節のこわばり
30%を超える発現率で関節痛と並び2番目に多かった。多くは軽度の症状だったが、数カ月から数年悩まされる。LHRHアナログ(リュープリンなど)+タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬で発現率が高かった。
およそ半数が手や指に発現していた。対処として運動・ストレッチをおこなった方の36%が効果を感じたが、一方で同数があまり効果を感じなかった。
その他、3人が関節注射の処置を受け、3人とも効果を感じられ、2人が手術を施行された。
しびれ
発現率20%あり、群類別ではホルモン療法無しが多かった。
乳がんの方に発現するしびれは数カ月から数年と長期に及ぶ例が多かった。抗がん剤の治療歴がある方は発現率が高かった。
しびれが出現した部位
多くが手や指、足に出現していた。
4人がビタミン剤や漢方などの処方をうけたがいずれも効果を感じなかったと回答している。
体重の増減
20%は体重の増加を感じているが、ホルモン療法を行っていない方も20-30%で体重増加を感じている。
減ったと感じた割合は比較的少なかった。
体重の増加
タモキシフェンの方が体重増加を感じた割合が多かった。
疲労感・倦怠感
20%を超える発現率。ホルモン療法なしの群も疲労・倦怠感の発現率は高いが、ホルモン療法ありの群は数カ月から数年間悩まされている。タモキシフェンの方の発現率が高かった。
月経異常
20%近く月経異常を認めた。ホルモン療法なしの方と比べて数年悩む割合が多い。
60%以上で「月経が止まった」という回答だった。
骨密度の低下
30%を超える発現率があるがホルモン療法なしの群も同様に見られる。骨折は3%と比較的少なく、対処として内服が行われている割合が多いためか。
アロマターゼ阻害薬で発現率が高かった。
ホルモン療法の期間延長を提案された場合、延長したいと思いますか
乳癌診療ガイドライン 2022年版
浸潤性乳癌に対する術後5年以降の追加投与について
ホルモン療法について思っている事に関するアンケート結果
ホルモン療法をやめたいと思った
ことはありますか
60%ホルモン療法をやめたいと思ったことはない。
30%はやめたいと思ったもしくはやめた。
やめたい(やめた)理由について
最も多く選ばれたのは長期に内服することだった。
次に副作用の辛さや効果を実感できないことが続いた。
ホルモン療法を継続する理由
再発がこわいが圧倒的に多かった。
副作用が許容範囲であること、定期的に通院し診察を受けたいことも多かった。
ホルモン療法をやめたいと思っていたが継続した方の今の状況についての回答結果
継続して、症状や気持ちが改善していった方は少数で、70%は気持ち的にも身体的にも変わらなかった。
ホルモン療法をやめた方の
今の状況についての回答結果
やめた方の40%以上は気持ち的にも身体的にも改善がみられた。30%は変わらないという回答だった。
ホルモン療法を変更した方の
今の状況についての回答結果
ホルモン療法を変更して気持ち的に改善がみられた方は20%程度だった。逆に身体的につらくなった方も20%見られた。
ホルモン療法中に悩んでいる事や
辛いことはありますかの回答結果
今はない方は70%近くいたが、悩んでいること辛いことがある方と未回答の方が合わせて30%強となった。
ホルモン療法中に悩んだり辛い気持ちになった時に頼れる人はいるか (複数回答可)
恋人パートナーが一番多く、次に友人、子供・孫と続いた。医療関係者と回答した方が30%という結果だった。
悩んだり辛い気持ちになった時に
どうするかの回答結果
(複数回答可)
誰かに話を聞いてもらうが60%強だった。次いで好きなことをする、インターネットや本などで情報を得るが半数近くという結果となった。
ホルモン療法中に支えとなった言葉


                                         他
2022/12/3
ももはな会事務局


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