ももはな会開催しました
 2021年7月31日第16回ももはな会を開催いたしました。
今回もコロナ禍での開催のため、リモートによる講演会となりました。今回のテーマは「乳がんと漢方」。井上記念病院 糖尿病外来・漢方外来非常勤 仙田晶子先生が講演下さいました。仙田先生は、会員の方々等の事前アンケートを参考にして、乳がん治療中はどんな漢方を処方されるの?など私たちが知りたかった、様々な問いに丁寧に分かりやすく答えてくれました。この講演会に参加下さった総勢34名の皆さん、漢方に対する視野が大きく広がったのではないでしょうか。

(講演内容 一部抜粋)
漢方とは
がん治療に使用される頻度の高い生薬
保険診療で使用する処方
五臓の概念
漢方において生体を構成する成分(気血水)
症状によって処方される漢方の種類
乳がんホルモン療法による症例に対する漢方報告例
エストロゲン活性のある生薬の抗エストロゲン剤との使用の是非
更年期障害と血の道症
漢方を飲むにあたってお勧めしていること
乳がんとビタミンDの関係        他

 
Q. どんな症状の方に漢方を出すことが多いですか?
 
A. 乳がん治療中の方に限っていいますと、薬による副作用で関節痛やのぼせ、しびれなどの症状に対して使用したり、焦燥感・治療に対する不安症状、睡眠障害や気分障害にも対応します。
もともとお腹が弱くて食欲がおちて胃腸の調子が悪い方にも検査を加えつつ処方を選んでいきます。

 
Q. 乳がん治療の何に焦点をあてて漢方を使用しますか?
A. 保険診療で行う漢方においては(乳がんに限らずがん治療において)、抗がん治療という積極的な治療は漢方では行えません。
西洋医学の抗がん剤で戦うなか、ご自身の免疫を補強して不調を整え、元気に過ごせる体にサポートするというのが漢方外来の立ち位置です。

 
Q. 症状が強い時だけ漢方をのむという事も可能ですか?
A. 治療には標治と本治があり、その場の辛い時だけ症状対応は標治です。ちょっとだけ飲むという方法で標治の治療を行うという手もあります。
 
Q. 証があれば飲みやすいといいますが、味がつらい時、どうすればいいのでしょうか?
A. 主治医に言ってください。エキス剤は既製品なので味が本来のせんじ薬の味と違ってくることがよくあります(たとえば良質当帰はお菓子のように甘いですが保険で扱う中国製の当帰はえぐみがあって全く味がちがうものになります)。あるいは、流派の違う処方にすると、少し飲みやすいものに出会えることもあります。流派の違う処方に少し変えてもらうという手もあるかと思います。
 
Q. 漢方外来を受診するきっかけはどんな時ですか?
A. 体の不調があって、主治医による西洋医学での対応が難しい時。
西洋医学での副作用が強くでる時。

 
Q. 複数の漢方併用は大丈夫ですか?
A. いろんな科の先生が漢方を出される場合がありますが、その際他科の処方がみえないときにポリファーマシーの問題が起こりえます。一人の医師が工夫をして出される際には、主治医と相談しながら1日3〜4種程度の組み合わせにして飲む分には大丈夫ですが、甘草の総量には気をつけましょう。