2020年10月24日(土)第13回ももはな会を開催しました。
ZOOMを利用した初めてのリモート講演会。参加者総勢26名!椎名先生による遺伝性乳がん卵巣がん症候群について講演頂きました。内容としては大きく4つ、@遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)についてAHBOC検査はどのようなものかB遺伝子検査をするメリットと何ができるのかについてC遺伝子検査をするデメリットと困る事についてをわかりやすくお話しいただきました。講演最後に当院の遺伝カウンセリング状況と、検査・手術に対して患者さんがどのように考えているかについてもお話しいただきました。少しずつではありますが、日本でも遺伝子検査が保険適応になり、HBOCに対して向き合っていく環境が整いつつある状況です。
私が先にここを話して・・・
ここから先生お願いしますね!
今回もスタッフは会議室で
ソーシャルディスタンスを
保ちながらこんな感じでした
〔補足〕
遺伝子変異には「生殖細胞系列の遺伝子変異」と「体細胞系列の遺伝子変異」の二つの意味があります。
「生殖細胞系列の遺伝子変異」があるということは体のすべての細胞 に遺伝子変異があるということを意味しています。つまり次世代に遺伝子変異が引き継がれ得るということです。今回テーマとなったHBOCがこれにあたります。
「体細胞系列の遺伝子変異」は癌細胞のみの遺伝子変異のことを言います。
生殖細胞系列のBRCA遺伝子に変異がない(=HBOCではない)のに体細胞系列のBRCA遺伝子に変異がある(=癌細胞のBRCA遺伝子に変異がある)場合があり、後天的にBRCA遺伝子の機能異常をきたしため癌化した可能性があります。
乳がんではまだですが、卵巣がんでは腫瘍組織のBRCA遺伝子を検査することができ、変異があればPARP阻害剤を適用することができるようになりました。このことは先天的な疾患であるHBOCだけでなく、後天的にBRCA遺伝子変異をきたした卵巣がんにも効果のある治療が提供されることを意味します。
今後、がんゲノムプロファイリング検査(がんの遺伝子を調べて、検出された異常に適した治療を探す検査)が広まってくると乳がんの分野でもこのような個別化治療の動きがさらに活発化してくると思われます。またの機会に詳しくお話したいと思います。
ここからは質問コーナーです!
早速ですが、安川から質問です。
私は娘と息子がいるのですが、乳がんだった場合に遺伝する確率は?息子は心配しなくて良いのでしょうか?
子供には50%遺伝します。
娘さんの場合は乳癌、卵巣癌、膵癌
息子さんには乳癌、前立腺癌、膵癌に罹患する可能性が
あります。
娘さんを心配しがちですが、息子さんにも関係しますよ。
川上診療所副院長横溝先生から質問です。
後天的にBRCAに変異をきたすことは
あるのでしょうか?
後天的にBRCA遺伝子に変異がみられることはあると言われております。
※下記補足を参照