【一般演題 5】 PropylthiouracilによるMPO-ANCA関連下腿潰瘍をおこした バセドウ病の一例 松戸市立病院内科 川勝干佳子、太枝 徹、海辺剛志、柏原俊彦、時永耕太郎、木村 亮、 西出敏雄、松島保久 【はじめに】 Propylthiouracil(PTU)は稀にMPO-ANCA関連腎炎を起こすことが知られているが、血管炎を起こす部位として下腿潰瘍を起こすとの報告は少ない。今回PTUによると考えられるMPO-ANCA関連下腿潰瘍を起こしたパセドウ病の一例を経験したので報告する。 【症例】36歳女性で、数年前より頚部腫脹を自覚していた。平成10年1月より他院にてパセドウ病の診断にてPTU治療を受けていた。平成11年9月より自転車転倒時の軽い擦過傷から両下腿に潰瘍が多発性に出現した。他院での治療にても増悪傾向のため当院整形外科受診し入院加療となった。局所消毒処置にて改善傾向を認めないため、血管炎の疑いにて10月当院内科紹介となる。受診と同時にPTUは自己中断していた。検査にてMPO-ANCAが陽性である事が判明し、多発性顕微鏡的血管炎と診断し内科入院となる。入院後PTUの内服歴が判明したが、PTU中断後は潰瘍は速やかに縮小消腿した。現在バセドウ病はmethimazoleにて加療し経過観察中であるも、下腿潰瘍の再発をみていない。 【考察】PTUは稀にMPO-ANCA関連系球体腎炎を起こす事が報告されている。経過中糸球体腎炎を考えさせる尿所見は認めなかった。また肺胞出血を疑わせる呼吸器症状も認めなかった。投与から発症までの期間も長いことより、PTU内服中は常に全身の血管炎合併に留意する必要があると考えられた。 プログラムに戻る |