【一般演題 2】 橋本病に罹患したドナーからの末梢血幹細胞移植後早期に発症した 甲状腺炎のー例 千葉市立病院、千葉大学附属病院輸血部1) 趙 龍桓、青墳信之、平井 昭、浅井隆善1)、寺野 隆 症例は20歳女性、骨髄異形成症候群の診断にてHLA一致同胞より末梢血幹細胞移植を施行された。移植後第35病日に甲状腺部の圧痛と発熱が出現、超音波上両葉のび慢性腫大を認め、内部エコーは不均一でエコーレベルは低下していた。第39病日の甲状腺機能検査ではTSH低下、FT3/FT4正常範囲、抗サイログロブリン抗体腸性であった。第56病日にはTSH測定感度以下、FT4高値となった。移植前検査でレシピエントの甲状腺機能は正常、自己抗体は陰性であったが、ドナーはANA腸性、抗サイログロブリン抗体強腸性で橋本病と考えられた。慢性GVHD(移植片対宿主病)症例で橋本病の発症が報告されているが、本症例は移植後早期に発症した抗サイログロブリン抗体陽性甲状腺炎であり、急性GVHDの発症も見られておらず前述の移植後慢性甲状腺炎とは異なる発症機序が推測された。すなわち移植時に移入されたドナー由来の成熟B細胞による抗甲状腺抗体の産生が関与している可能性があり、興味深い症例と考えられた。 プログラムに戻る |