【一般演題2】

題 名: 穿刺吸引細胞診所見にて硝子化索状腺腫との鑑別が困難であった
     甲状腺髄様癌の1例
所 属: 千葉大学第2内科、国保国吉病院内科1)、千葉県対がん協会検診
     センター2)、八千代中央病院内科3)、千葉大学第一外科4)
氏 名: 吉田知彦、伴 俊明1)、陶山佳子、橋本秀行2)、石川 明2)、
     吉田勢津子3)、長嶋 健4)、鈴木正人4)、中島伸之4)、大塚優子、
     布施まさみ、竹尾愛理、内田大学、龍野一郎、齋藤 康
内 容:
硝子化索伏腺腫(hyalinizing trabcular adenoma、以下 HTA)は稀な甲状腺良性腫瘍である。組織学的には索状に配列する腫瘍細胞の増生からなり、間質は硝子様でアミロイドを思わせる。
腫瘍細胞の核には核溝、核内封入体を認めることが多い。以上のような特徴から、HTAは細胞診断学的に乳頭癌や髄様癌との鑑別を要する。今回我々は、穿刺吸引細胞診上はHTAと診断されたが、カルシトニン異常高値から髄様癌が疑われ、術後病理所見にて髄様癌と確定診新された症例を経験した。
症例は48歳、女性。平成11年7月の検診で、甲状腺右葉に径2cmの弾性硬の結節を指摘され、精査のため千葉県対がん協会に来院した。甲状腺エコーでは、径 22×22×13mm で辺縁一部に点状石灰化を件う内部モザイク状 low echo の結節を認めた。穿刺吸引細胞診では、円形〜紡錘形の核または大型核で、胞体が薄く微細顆粒状の濾胞細胞の増生が認められた。間質にはアミロイド様物質をみとめ、細胞核には一部核溝、核内封入体を認めた。これらの所見から細胞診上はHTAと診断され、外来にて細胞診を繰り返しつつ経過観察された。しかし鑑別として髄様癌の可能性も考えられたため、血中力ルシトニンを測定したところ著明な高値であった。このため、平皮12年9月甲状腺右葉切除術か施行された。腫瘍の基本構築は充実性で管状構造を示し、その核は円形〜類円形を呈していた。カルシトニンの免疫組織染色が陽性であり、髄様癌と病理診断された。
髄様癌はC細胞由来のカルシトニン産生性悪性腫瘍であるが、細胞診上HTAとの鑑別は必ずしも容易ではなく、臨床上注意すべきと考えられた。




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