【一般演題1】

題 名: 最近経験した興味深い甲状腺腫瘍2例について
所 属: 松戸市立病院内科1)、同病理2)、慶応義塾大学病理診断部3)
     都立松沢病院外科4)、伊藤病院5)
氏 名: 太枝 徹1)、海辺剛志1)、時永耕太郎1)、柏村 真1)、
     松島保久1)、野呂昌弘2)、秋草文四郎2)、亀山香織3)、
     鳥屋城男4)、伊藤公一5)
内 容:
 はじめに:伊藤病院にて鳥屋らが甲状腺細胞診を世界に先駆けて開始して早30年が経過し、甲状腺癌の診断において穿刺吸引細胞診は極めて重要な手段となり、広く普及するに至りこれなくして甲伏腺腫の診療は不可能な時代になっている。しかし、現在でも細胞診上診断に苦慮する症例を経験する。最近当院にて興味深い2症例を経験したので報告する。
 症例1
 慢性甲状腺炎では、甲状腺にリンパ球が浸潤し慢性の炎症を起こしている。これを発生母地とする悪性リンパ腫を経験する。しかし、胃のMALTリンパ腫と同様に、甲状腺のMALTリンパ腫を実際に経験することは少ない。今回甲状腺原発MALTリンパ腫瘍と診断し得た症列を経験したので報告する。
 症例2
 好酸性濾胞腺腫と好酸性濾胞腺癌の鑑別は細胞診上極めて困難であるとされ、好酸性甲状腺細胞を確認した場合は手術が勧められる。実際には病理学的に好酸性濾過腺腫であった経験が多く、好酸性濾胞腺癌を経験することは少ない。また病理学上の取り扱いに付いても十分に理解していないのか現状である。
今回、術前診断が乳頭腺癌で、病理診断にて好酸性乳頭腺癌(papillary oncocytic neoplasm;AFIP)と好酸性濾胞腺腫瘍との鑑別が問題になった症例を経験したので報告する。




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