HRTの影響?

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ホルモン療法はがんに影響が無い?
  2月20日付け朝日新聞日曜版にホルモン療法の記事が掲載されていました。更年期障害の治療としてホルモン療法(HRT)を受けた場合の乳がんのリスクが高まるのではないか、との懸念に答えて、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された、ホルモン療法は進行度には影響がない、という内容の記事です。(詳細レポート)
これは88年から6年間に発見された乳がんの患者の中で、HRTを受けている人とそうでない人の相違を研究したもので、患者は50〜64才の女性1113人、うちHRTを受けていた人は166人だそうですが、両者の間に相違が見られなかったので、対象例は少ないもののHRTを処方する側の医師としても一安心、とありました。
ところが同じブリティッシュ・メディカル・ジャーナルでは、ある種の組み合わせに依るけれどもHRTを受けることで乳がんになってしまう率が高くなる、という記事もあったので、読み分けができていなかったため混乱してしまいました(笑)。その記事をしっかり読むと、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンを組み合わせていた場合は、エストロゲン単独の場合よりも乳がんに罹るリスクが高くなる、というものなので、上の日曜版の記事とは言ってみればフェイズが異なるわけです。つまり上の記事によれば、乳がんにすでに罹っていた人の場合HRTを受けているか否かはがんそのものの進行度(腫瘍の大きさなど)に変化が無いということであり、影響がある、という記事の方は未だ乳がんでない人に対して、ある種のHRTの組み合わせがリスクを高くしてしまう、ということですので、対象がすでに乳がんだった人とまだ乳がんでない人、という違いがあるわけです。論文と記事だけしか情報がないため詳しくはわかりませんが、例えば上のエストロゲンとプロゲステロンという組み合わせは乳がん患者に対し何らかの悪影響を及ぼす、という可能性が無いか?という問題があります。まあそれは、上の記事の調査研究がさらに進まないとわからないことなのですが。
でも(完全に仮定の話になってしまうわけですが)もしその可能性があるとしたら、全く影響がないとは言えないのではないでしょうか。残念ながら上の記事のレポートではどのようなHRTを処方されているのかが詳しくわかりませんが、そのあたりの追試や追加情報を知りたいところです。そこまで追いかけてざまさまな情報を総合して、それでも影響が無いということがわかって初めて安心できるような気もしますが、いかがでしょうか?

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