バセドウ病

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バセドウ病とはどんな病気?

■橋本病とは?

■甲状腺の手術

■甲状腺にしこりがあったら

▽どんな病気?

 甲状腺は体の新陳代謝をつかさどる甲状腺ホルモン(血液検査のfT4とfT3という数字が甲状腺ホルモンの量です)を作って分泌する臓器です。甲状腺は脳のホルモンの中枢(脳下垂体と呼びます)からちょうど良い量のホルモンを作るように調節を受けています。しかし、血液の中に異常な甲状腺刺激物質(血液検査のTRAbと言う数字がこの刺激物質の量をほぼ表します)ができてしまい、甲状腺が働きすぎて甲状腺ホルモンが過剰になる病気です。

▼症状は?

 甲状腺ホルモンは新陳代謝を亢進させます。ですからホルモンが多すぎると、休んでいても体が活発に動いているのと同じ様な状態になってしまいます。具体的には、動悸がする、手がふるえる、汗をかく、暑がりになる、食べるのに痩せる、疲れるなどの症状が出てきます。人によっては、下痢をしたり、不整脈が出たり、イライラしたり眠れないなどの症状がでることもあります。また、一部の患者さんでは目が突出してくることがあります(目の症状は必ずしもホルモンの乱れの程度とは関係ありません)。

▼治療方法は?

 薬、手術、放射線の3つの治療方法があります。どの治療法にもそれぞれ長所、短所があります。アメリカでは放射線の治療を行うことが多いようですが日本では薬による治療が中心です。ただし、薬が後に述べるような副作用で使えない場合や効き目が不十分な場合には若くて甲状腺の大きい人は手術、中高年で今後妊娠出産の予定がない人は放射線の治療を行う必要があります。早く治したい、確実に治したい、薬を飲みたくない、通院できないので長く薬を服用できないなどの理由で積極的に手術や放射線の治療を選ぶ方もいらっしゃいます。どの治療法が最も良いかは人それぞれですので専門医と良く相談して決めるのがよいでしょう。

○バセドウ病を薬で治療するときの注意

 バセドウ病の薬は日本ではチアマゾール(商品名はメルカゾール)とプロピルチオウラシル(商品名はチウラジールとプロパジール)の2種類しかありません(抗甲状腺薬と総称されます)。いずれも甲状腺の働きをおさえてホルモンを下げる作用があります。

(1)副作用

 どちらの薬も副作用があり細かい点をのぞけば副作用もほぼ同じだと考えて差し支えないと思います。比較的多い副作用は体にかゆい皮疹が出ることです。注意していただきたいのはバセドウ病自体でも体がかゆくなることがありますので薬の副作用と間違えないようにして下さい。体に赤い皮疹がなくてかゆいのは病気による場合が多いようです。この副作用はじきに消えてしまうことも多く、重症となることも少ないためそのまま薬を続ける場合もあります。もちろんひどい場合は薬を一時休み、別の薬を試してみることもあります。一方、決して多くはありませんが(500〜1000人に一人程度)重篤な副作用として無顆粒球症があります。これは細菌から体を守る顆粒球(白血球)が突然、0に近くなるまで減ってしまう状態です。この場合、急に扁桃腺が腫れ40℃に近い高い熱が出ます。この様な場合すぐ主治医と連絡をとり適切な治療を受けないと危険です。連絡の方法等を確認しておいて下さい。残念ながら薬に対する特異体質を事前に知る検査は今のところありませんので症状が出たら速やかに対処するしかないのが現状です。また、抗甲状腺薬による肝機能障害も報告されています。薬を開始してから体が妙にだるかったり、尿の色がおかしいときも御相談下さい。どちらの薬を選ぶかはかなり専門的な話となりますので専門医と御相談下さい。

(2)薬の効き目

 甲状腺は作ったホルモンを貯蔵していますので薬によりホルモンを作る働きが抑えられてもしばらくはホルモンは下がりません。飲み始めてすぐ効かないからと飲むのを止めたりせずきちんと服用して下さい。また、薬でホルモンが下がって具合が良くなっても病気の原因(TRAb)はまだ消えていません。これが消えるまでには数年の時間が必要です。途中で薬を飲むのを止めると病気はすっかりもとに戻ってしまいます。自己判断で中止したりしないようにして下さい。薬は血液の検査を見ながら徐々に減らしてゆきます。

☆バセドウ病と目

 バセドウ病の患者さんの中には眼球突出が起こる方がいます。目の症状は必ずしもホルモンの症状とは相関せず、極端な場合にはホルモンが正常で目の症状だけのバセドウ病の人もいます。原因は現在のところ分かっておりません。バセドウ病の発症から少し遅れて目の症状が出る人も多いため治療を始めたら悪くなったと勘違いする人もいますが治療とは関係が無いことがほとんどです。治療に反応する時期が限られていますので、目がごろごろする、痛い、充血する、光がまぶしい等の症状があったら主治医に相談して下さい。

■生活の注意

 ホルモンが高い間は運動等は避けて下さい。妊娠出産は薬を服用しながらでも可能ですが病気の勢いの強い間や薬の量が一定しないあいだは避けた方がいいので主治医の先生と相談して下さい。血液の数字によっては赤ちゃんのホルモンに一時的な影響の出る場合もあり得ますが検査によってある程度予測可能です。お子さんに遺伝することを心配される方も多くいらっしゃいますがバセドウ病はいわゆる遺伝病ではありません。

(川上診療所&千葉大学第二内科 内分泌研究室)

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