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阪南中央病院労働組合の要求/見解/主張



「看護崩壊―病院から看護師が消えてゆく」を読もう!
看護師を続けることは命を縮めること?
患者、看護師の健康と生命を守るために声をあげよう!
  「看護崩壊」という衝撃的な言葉、看護の現場に何が起こっているのか?今年1月、「看護崩壊」という本が発行されました。労働経済ジャーナリストの小林美希さんが、10年間多くの取材を続けてこられてまとめたものです(阪南中央病院で佐道医師に取材された内容が72pにあり)。
 全国各地の医療現場の看護師の過酷な労働実態(「職場流産」、過労死・過労自殺、長時間夜勤労働等々)のルポから、看護師のギリギリの労働実態が全国的に共通のものとなっていることが強く印象に残る本です。これまで看護師不足や過重労働の実態は、医師と比べると取り上げられてきませんでしたが、「看護崩壊」として捉え、警鐘を鳴らすこの本に、一緒に注目していきましょう。

 
2月15日に行なった夜勤プロジェクト委員会では、「はじめに」に書かれていることを紹介しました。今後、委員会でこの本を読み進めて、毎回組合ニュースにも掲載します。是非、皆さんも一緒に考えて欲しいと思います。この本を近く職場に配布しますので、是非読んで下さい。今回は、概要を簡単に紹介します。

看護師が病院から去っていく!看護師不足は深刻

 ギリギリの人員で長時間の夜勤をこなす看護師達は、3人に1人が流産や切迫流産、2万人が過労死寸前の状況、多くが心身の疲弊を感じ働いているといったこのような過酷な労働環境の中、年間10万人以上が離職する。看護師不足は深刻になっていく一方である。
 2025年には、75歳以上の高齢者が人口全体の18・2%を占め、看護職が200万人必要だと言われている。少子高齢化社会の中で看護師の役割はますます増していく。看護師の働き方の問題は、疲弊する日本の労働界全般に通ずる問題である。看護崩壊は医療崩壊をもたらし、全国民の健康と命の問題である。

看護師は心も体も疲弊

 「職場で看護師が流産するのは当たり前と思っている」――妊娠中の様子を聞けば必ず耳にする言葉。他人の命を預かり守る現場で働く看護師なのに、自分に降りかかった悲劇の感覚が麻痺するくらい過酷な状況に陥っている。若い看護師が、「看護学校で習うような患者のためのケアなんて建前だ」と悩み、日々の過酷な業務に追われ、どんどん患者に冷たくなる自分に気づき「バーンアウト」して病院から姿を消していく。忙しい勤務の中、ミスや医療事故と隣り合わせ、どんな優秀な人間でも、忙殺されればミスも起こしかねない。看護師は、人手不足による壮絶なまでの長時間過密労働、交代制勤務の健康被害などの実態は深刻である。

看護師不足は、憲法第25条・国民の「生存権」の問題

 
激化する高齢化社会の中、国民の約8割が病院で最期を迎えている。国は医療費を抑制するため在宅医療の方向へ制度設計を変更しつつあり、医療への依存度の高い患者が病院から放り出され始めた。病院の看護師だけでなく訪問看護師も圧倒的に不足している。
 看護師の離職の原因は夜勤負担が大きい。夜勤回数はもとより、16時間に及ぶ2交代制の長時間夜勤の広がり、少ない人員配置等から過酷な労働を強いられるからである。看護師への負担がかかることは、同時に患者の安全を脅かすことにつながる。看護師不足の問題は、憲法第25条・健康で文化的な最低限度の生活を営む「生存権」を脅かしていると言える。

 
声を上げ、看護師問題を早急に広め社会問題に!

 
こうしたなかで、夜勤の労働時間について規制緩和する動きや、看護師に新たな業務を課す「特定看護師(仮称)」の創設などの議論がされている。現場の看護師は忙しすぎて声も挙げられない。
高齢者が激増する日を目前にして、看護師達が職場を去れば、いったい誰が老後の最期を看るのだろうか。手遅れにならないよう、看護師の問題を社会問題化して、広く一般の人にも知ってもらい、多くの国民が声を挙げることで政治や行政を変えていかなければならない。


(組合ニュース5155号 2011年2月28日発行より)


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