第三十三回坂東吟行 第十三番札所  金龍山浅草寺(浅草観音)

 

いよいよ足掛け9年にわたる坂東三十三観音吟行も浅草寺をもって満行の日を迎えました。当日は全国から会員130余名が三社権現に集まり、浅草寺界隈を吟行しました。その日浅草寺は昭和本堂落慶五十周年大開帳(23年ぶり)が行われており、また宝蔵門の大草鞋奉納式の日でもありました。境内では浅草大観光祭の一環として平成中村座公演、浅草奥山風景、菊花展も催されており、大変なにぎわいでした。
句会は場所を上野に移し、上野精養軒で行いました。夕刻よりは、満行記念の祝賀会に移行し、皆勤賞の表彰、各回の幹事の表彰などをとり行い、会員相互の懇親を深めました。

浅草寺は推古天皇三十六年(628年)檜前浜成、竹成兄弟が江戸浦で漁労中一体のご尊像を感得し、郷司土師中知がそれを聖観世音と知り、深く帰依し、出家、自宅を寺として礼拝供養したのが始まりです。三社祭で有名な浅草神社(三社権現)はこの檜前兄弟と土師中知を祀ったものです。江戸時代には徳川家の祈願寺と定められたこともあり、多くの参詣者を集め、庶民の盛り場、娯楽場として栄え、その賑わいは明治以降も引き継がれました。しかし昭和二十年(1945)東京大空襲で観音堂、五重塔などが焼失し、浅草全体が一時衰退しましたが、近年浅草寺を中心に下町情緒を残す街として賑わいを取り戻してきています。戦後は天台宗より独立し観音宗総本山となっております。

◎開催日 平成二十年十月二十六日(日)
◎日 程

十時 
十三時三十分
十六時三十分
十八時
二十時

浅草神社境内集合 
出句締切 三句出句 三句選
句会終了 
満行祝賀会(上野精養軒)
祝賀会終了

◎句会場 上野精養軒

主宰ご出句
 

百三十余名結集秋の声

満行結願無花果柿柘榴

結願の古稀のこの秋惜しみけり


 
 

特選句
 

時雨月草鞋奉納浅草寺

人集ひ人散る仲見世しぐれけり

浅草に木の実拾うて満行す

ゆく秋のまこと小さき観世音

旅人はただ通り過ぐ秋時雨

子規庵の庭を清めて種を採る

満願の豊かな菊の色に触れ

伝法院ざくろ熟るれば門開く

死支度しつつ満行紅葉かな

迷はずに来て不忍の破れ蓮

満行のけさやはらかく秋の雨 

げんきだせげんきだせよと冬隣

秋惜しむあしたはとバス予約して

一と言にこころも水も澄みにけり

晩秋は塔のさきなり鳥一羽 

小鳥来る伝法院の大蘇鉄 

初時雨粟ぜんざいの粟の粒

敗荷の森のごとくにありにけり

天井の天女に及ぶ秋の冷 

初しぐれうしろに人のぞろぞろと

秋のこゑ人のこゑ木端仏持参 

カミさんのおむすびを背に秋惜しむ

行く秋の奥山屋台昼の酒

時の鐘樹々に流れて薄紅葉 

秋しぐれ雷門から人力車

まづ参る桜紅葉の九段坂

ゆく秋の老いて親しむ仁王像

半田良浩

岩崎芳子

盛田道子

田浦伊久子

西田泰之

二階堂光江

岩井久美惠

奥澤信子

野木藤子

井上美保子

栗島弘

安居須美子

億みき

太田智子

三枝桂子

小松勢津子

横沢朝子

田中修明

木村ますみ

井上薫子

藤井正幸

横井定利

小池啓子

湯本知代

中村昭子

藤平寂信

出口節子


 



 

記録:後藤洋




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