第三十二回坂東吟行 第二十二番札所  妙福山佐竹寺

 

 常陸太田市にある佐竹寺は寛和元年(985)花山法皇の勅願により、元密上人が開山したと伝えられています。昔は鶴ケ池北観音山にあったが兵火によって焼失し、天文15年、佐竹義昭によって佐竹城の鬼門除けとして再建されました。本尊は十一面観音菩薩がまつられ、安産厄除けの仏様として信仰されています。仁王門を入ると茅葺き、寄棟造りの本堂が建ち、唐破風の建物等は桃山時代の先駆をなすものとして注目されています。国の重要文化財に指定されています。



◎開催日 平成二十年七月二十七日(日)
◎日 程
十時 
十三時
十六時三十分
常陸太田駅集合
出句締切 三句出句 三句選
句会終了
◎句会場 ホテル釜蔓

主宰ご出句
 

かきつばた實となる黄門さまの屋根

竹おちばよりも寂かなひるさがり

山百合の行く手行く手の花の数

 
 
 

秀句
 

牛久までつづく野面や朝曇

白鷺の白のまぶしき青田かな

もてあます荒ぶる心蓮匂ふ

朝もやのけぶる常陸野大蓮田 

久慈川のほとり晩夏の火を焚いて

水郡線始発終点青田波   

佐竹寺の庭の大樹や蝉しぐれ  

ひらひらと夏蝶くぐる仁王門 

炎天下古刹の仁王裂傷す

祷るとは嘘つかぬこと苔の花 

睡蓮のぽつんと開く遠ラジオ

涼しさやたわわに青き銀杏の実

夏空に光る佐竹の扇紋

茅葺に柿葺きとは涼しかり 

古りまさる茅葺裳階夏深し

寄棟のもこし美し蝉しぐれ  

滴りや眼こらせば観世音

茅葺や涼しく在す観世音 

箔押しの来迎柱涼しかり

献灯の一燭もなし蟻地獄

蟻地獄の蟻の最期を見てをりぬ   

涼しげに茅葺寺の仏たち

佐竹寺の五十五人蝉しぐれ

茅屋根の厚きに沁みて蝉しぐれ 

お仁王の腕に血管夏旺ん  

万緑や句帳一冊ペン一本

青桐の花八年の月日かな

どの道も海へ海へとゆりの花 

住居跡山百合の咲く井戸一つ  

岩清水掌に遊ばせて西山荘 

光圀のゆかりの田草取りにけり 

菖蒲田の奥まで草を刈りすすむ

万緑や吸ふために息深く吐き  

山百合のひとを無口にしてゐたり 

山百合や人を助けぬ当てにせぬ 

夏薊女教師のこゑ大きかり   

竹垣につづく柴垣夏館      

夏木立水戸黄門を語りつぎ   

突上ご門蜘蛛おりてくる風の道 

史書編みし三畳の間の涼しかり    

茅ぶきの屋根に育ちしかきつばた 

山荘のゆるやかな坂落し文 

落し文二代将軍ご隠居所    

この先は楓ケ谷津や蝉のこゑ 

誰からも離れてひとり蝉時雨  

緑陰の順路いつしか水の音    

雪村団扇墨色のものたらず

前回の札所の話メロン食ぶ    

人わっと来て去る座敷蝉時雨 

万緑や幸せ一杯なる句座に     

板東を巡り八年秋近し   

薔薇白し戦終りし日の記憶

大いなる兄の生涯夏終る  

油蝉坂東吟行あとひとつ 

   

鈴木 信幸

鳥井 月清

安居須美子

鈴木 仁

今野志津子

藤田 惠理

荒井 栗山

海老根ヨシ子

佐藤 古城

深津 健司

城下 洋二

福田 礼子

瀬尾みよ子

鎌田 明子

永井 道子

新原 澄子

小木曾仁子

軽部 梢

深津 瑩子

水野 浩子

さとうかしこ

植木 緑愁

尾木よね子

飯倉あづま

小松勢津子

大貫 瑞子

森田伊佐子

井上 薫子

植村やよひ

半澤 典子

岩井久美惠

成岡ミツ子

後藤 洋

吾妻 ふみ

田中 啓介

浅井 敏子

寺澤 慶信

奥澤 信子

宮沢 歌子

加藤多美子

岩崎 芳子

手塚 京子

井坂 道子

村上 瑩子

桑田津海坊

川ア 柊花

小池 啓子

三木 潤子

古橋 淑子

高宮 ヤ子

田中 修明

田宮みつ子

斎藤 秋声

二宮 操一






 
 

記録:後藤洋




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