第十九回坂東吟行 第九番札所 都幾山慈光寺

 

平成17年1月30日
句会場:道の駅「おがわまち」埼玉伝統工芸会館イベントホール

 都幾山慈光寺は、埼玉県の中ほど、比企丘陵が連なる都幾川村の奥深い山中にあります。関東最古の1300有余年の歴史を有する古刹です。鑑真和上の高弟、釈道忠による創建にはじまり、役の小角が修験道場とし、鎌倉時代には源頼朝による寄進と保護を受け、一山75坊を数えて隆盛を極めたと伝えられています。観音堂のほか、宝物殿、開山堂、般若心経堂、霊山院などの堂宇を擁し、国宝の「慈光寺経」〜装飾法華経一品経〜を所蔵していることで知られています。


主宰ご出句
 


紙を漉く寒のこころを漉くやうに
   
巡り巡れる山姥に大枯野

枯るるもの枯れつくしたる寂光土

 
 

特選句
  ままごとのバケツがひとつ雪の上 石川 秀治





  福寿草忠七めしをいただきぬ 有住 洋子
  寒暁や坂東吟行初幹事 柴山 正子
  やま水にやまの楮を漉きあぐる 後藤 洋
  紙漉女長身にしてかろやかに 岩井 久美恵
  笹鳴や日の差してくる飾鏡 水巻 令子
  をんな若し腰高々と紙を漉き 植村 やよひ
  漉きて十年寒水に女の手 釼持 育代
  むかれたたかれさらされて楮冴ゆ 松本 軍治郎
  初みそか研修生の紙を買ふ 山口 都茂女
  掌に乗りさうな女人堂山ねむる 寺澤 慶信
  紙を漉く前の野原を犬が行く 石川 秀治
 

青年の居て軒低き紙漉場


古橋 淑子

 
記録・写真:後藤洋




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