aoilogo2020年6月藍生主宰句
ほうたる来い
黒田杏子



訃報ひとつほうたるを待つ縁側に
悼句練るゆつくりと練る螢の夜
ほたる火をひとつこころに悼句練る
なきがらのほたる夏落葉いち枚
こときれし螢を知らぬ蟻の列
ほたる火に逢つて七十五年なる
切手蒐めて年とつて螢呼ぶ
その日まで生きよと螢なだれけり
ねむり薬二分の一錠青螢
ほたる見にゆく夢の坂杖いつぽん
那珂川と箒川わが螢川
なみなみと新茶汲み分けほたる待つ
勁きひかりを那須野ケ原の螢
ほたるくる青田風くるいとこ会
あけがたの夢の岸辺の草螢
螢川記憶の岸を遡り
お遍路に四万十川の螢籠
ほたるふぶきほたる散華果報者
  四国第三十八番
補陀落院金剛福寺初螢
  「岡田隆彦詩集成」が届き、しばしおしゃべり
麻乃さんと史乃ちやんのことほうたる来い


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