aoilogo2020年5月藍生主宰句
花 篝
黒田杏子



山櫻しづかに日の出待ちにけり
昇りくるお日様のこゑ花のこゑ
八十の花の記憶の無盡蔵
逢ひにきて近づいてゆく朝櫻
発心の花巡りきし祷りきし
花の彼岸へいそがずに白き蛇
昇りくる朝日いよいよ飛花落花
つどひきたりて四五人の花の句座
それぞれに生きて一日を花の句座
しだるるは嵯峨野僧伽の朝櫻
月光の嵯峨野僧伽の糸櫻
濃むらさき寂聴さんの花衣
花の雲寂聴源氏版重ね
推敲の漸うかなふ朝櫻
脊梁山脈みちのくの花の闇
  中近東文化センターにて「白塔句会」開催の日あり
三笠宮行く手行く手の花の渦
振返ることもう要らぬ花の雲
十七代佐野藤右衛門花篝
音立てゝ天に到れる花篝
花篝天にほほゑむひとのこゑ


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