藍生ロゴ 藍生1月 選評と鑑賞  黒田杏子


秋深む鈴木牛後さん頑張つて

(新潟県)斉藤 凡太

 凡太さんは漁師という仕事から引退を決められたようである。私がはじめて凡太さんにお目にかかったのは60歳の秋。会社員の生活から定年で引退。一廻り歳上の凡太さんは72歳。矍鑠としておられた。凡太さんは「新潟日報」俳壇と「藍生集」に不定期に投稿されている。その作品を通して私は凡太さんの動静を知ることになる。凡太さんのこの一句を創刊30周年を迎える「藍生」一月号の巻頭に頂けたことをよろこぶ。鈴木牛後さん頑張って。こんな言葉を新潟県出雲崎から吹雪の北海道の句友に贈る。凡太さん健在。



ほうと吹きふうと息つく瓢の笛

(北海道)鈴木 牛後
 句集『にれかめる』は第34回北海道俳句賞に決まった。別項のように三人の選者が揃って牛後句集を推された。角川書店は『にれかめる』三刷を決定。異例のことである。角川俳句賞の受賞者あいさつを牛後さんは「私の受賞が、農業や漁業・林業など一次産業に従事される方々が俳句に親しまれるきっかけになれば嬉しい」というような言葉で結ばれた。「斉藤凡太さんの生き方と作品にも学んでいます」ということも私への私信の中で述べられていた。何よりも私は凡太、牛後という二人の傑出した俳人とともに歩むまたとない俳句人生に合掌する。



霧茫々おほかみ悠々と咆哮

(東京都)董 振 華
 作者は金子兜太先生の愛弟子。「海程」の同人を経て、「海原」同人。現在は「藍生」会員として、毎月の東京例会にも出席。秀吟を発表されている。北京出身。俳人・翻訳家として活躍中の中国漢俳学会副秘書長。いずれ「藍生」に金子兜太論を発表される。


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