aoilogo2019年9月藍生主宰句
銀河しづかに遡り
黒田杏子

  雑草園 二句
紅粉の初花おごそかに剪られたる
紅粉花ひらくあした浜木綿の黄昏
  六月二日 三鷹市公会堂
六月の風六百のひとの貌
  七月三十一日 東京会館
山百合ひらく上皇后着席
  「遍路吟行」回想 三句
白雨過ぎゆく足摺の大蚯蚓
雨霽れてゆく陸続と土佐蚯蚓
遍路われ跨がむとして土佐蚯蚓
考へず深く睡らむ鉦叩
つどひきたれり鉦叩日の出前
先生と曹人さんと鉦叩
もうすこしやさしくなれる鉦叩
七階の夢の底ひの鉦叩
そのひとをあはれと思ふ鉦叩
老人と老女の旅路馬追と
蟲の闇考へてゐる子供達
稲妻を待つ縁側に脚垂らし
四百字詰原稿用紙稲光
許さない何も要らない終戦日
兜太詩語銀河しづかに遡り
百歳兜太涯も無き曼殊沙華


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