aoilogo2007年5月藍生主宰句
春の星
黒田杏子

ことしこそ比良八荒の淡海に
年の豆桝にてとどく近江より
寂聴先生祝賀会相次ぐ
春星座つひに大鬼となり給ふ
句集「微笑」あんず句会二月例会場に届けられる
八十の春立つ句集まくれない
余寒なほ草木の恩句座の恩
中村昭子さんに
寒明くる微笑ことのはとこしなへ
曾祖母の雛祖母の雛みどりごに
寂庵の七段飾雛の膳
常温の酒をえらみて花を待つ
伊根行五句
春愁の浦島太郎なつかしみ
春潮の路地胸底に蕪村の句
春星座低き枕に触るるかに
伊根の星舟屋の春の灯とあまた
春潮の枕辺に置く旅守
二月二十五日飯田龍太先生長逝の報に
お訣れの山廬をつつむ春の星


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