リフレーミングとは、意味を変えるために、その人が持っている枠組(フレーム)を変えることである。意味が変われば、その人の反応や行動も変わる。すなわち、問題とされ、否定的なものとされてきたことをその人のリソースに変えるための働きかけである。
本書は、神経言語学的プログラミング(NLP)の方法に基づく心理臨床の実践書である。
NLPは、バンドラーとグリンダーの二人により開発されたコミュニケーションについての方法論であり、心理的アプローチについてのプログラム化されたモデルである。
リフレーミングの過程は、有機的な統合性に充ちたものであり、その点、肯定的なものと否定的なもの、正常と異常という二元論に基づく従来の考え方や、病態の排除と切断をもっぱらとしてきた伝統的な精神医学や臨床心理学の姿勢とは対極的な指向がそこにあり、現状の水準を超克するおおきな可能性をもっている。
この本によってリフレーミングはより有効な行動の変革をもたらす、予測可能、かつ体系的な介入法に変わったのである。
■本書の内容
序
- 意識内容のリフレーミング
- 部分(パート)と部分間の取り引き
- 新しい部分づくり
- 上級六段階リフレーミング
- システムのリフレーミング
- 分裂状態へのリフレーミング
訳者あとがき
訳者あとがきより、一部抜粋
ともすれば従来のセラピーでは、表面に現れた行動<反応>=「症状」と、それをひき起こす無意識の意図を全く区別せず同一視したままで、行動や「症状」そのものを変えようとしてクライエントの抵抗にあい、結果として有効な変容を果たし得ないことが多いのであるが、この点でリフレーミングの働きかけは臨床でそれを試みればその成果の確かさにまことに驚かされるものがある。そしてこれは、次に<部分(パート)>の肯定的な意図を、それを充たすにふさわしい行動に結びつけていくやり方(本書で「めざす結果」とよばれるもの)と合わせて、このあたりがいかにも現実的な有効性を強調するNLPの特質を如実に物語っている、といえよう。
さらにまた、治療家の恣意的な介入による弊害も無視できない臨床の現状を考える時、<エコロジカル・チェック>で見られる全体の自然なバランスを重視する配慮にも見るべきところは多い。
いずれにせよ、全体を通してリフレーミングのプロセスは有機的な統合性に充ちたものであり、その点、肯定的なものと否定的なもの、正常と異常という二元論に基づく従来の考え方や、病態の排除と切断をもっぱらとしてきた伝統的な精神医学や臨床心理学の姿勢とは対照的な指向がそこにあり、現状の水準を超克する大きな可能性を私達はそこに見ないわけにはいかないであろう。
なお、本書ではNLP特有の催眠的アプローチの記述がかなりの部分を占めるため、臨床催眠への経験に乏しい読者には当初少しわかりにくい箇所もあるかもしれない。できれば読者の皆さんにも機会があれば体験学習をもって、その内容をさらに臨床的に確かめてもらいたいと願うところである。
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