食中毒

・食中毒とは                                              

飲食に起因する危害−食品,添加物,器具または容器包装に含まれた,または付着した微生物,化学物質,自然毒を摂取することによっておこる衛生上の被害と定義されています。
食品衛生法上は,医師が保険所長に届出て,都道府県知事または市長を経由し,厚生労働省に報告されることが規定されています。

冷蔵庫,冷凍庫などによる食品保存法の一般化,食材の多様化とその供給地域の拡大,国際化などから,季節性は薄らぎ,夏に限らずいつでも起こりうると考える必要があります。
食品由来の健康異常がかんがえられた場合は,その人の症状の把握はもちろん,その他に家族や同一集団内に健康異常が及んでいないか,食材に問題はないかなどに常に注意が必要です。



・食中毒の原因物質

1.微生物
  @細菌
    ・食中毒細菌
     サルモネラ,腸炎ビブリオ,病原大腸菌,黄色ブドウ球菌,ウエルシュ菌,セレウス菌,
     カンピロバクター(ジュジュニ,コリー),ボツリヌス菌,エルリニア・エンテロコリチカ,
     ナグビブリオ,ビブリオ(フルビアリス,ミミカス)エロモナス(ハイドロフィラ,ソブリア),
     プレジオモナス・シゲロイデス

   ・その他の細菌
     赤痢,コレラ,チフス,リステリア,仮性結核菌,連鎖球菌,ビブリオ・パルニフィカス
     腐敗細菌

  Aウイルス
     ノロウイルス,その他

  B真菌
  
  C原虫類
     クリプトスポリジウム,サイクロスポラ

2.化学物質
  各種食品添加物,有害性金属汚染(カドミウム,鉛,スズ,有機スズ,有機水銀など)
  変敗油脂,放射性汚染物質など

3.自然毒
  @植物性自然毒
     かび毒,毒キノコ,植物毒(トリカブトアルカロイド,バレイショ毒,青酸配糖体)

  A動物性自然毒
     ふぐ毒など,麻痺性貝毒など,その他の魚毒

4.寄生虫
  @魚類由来
    アニサキス,旋尾線虫,顎口虫,横川吸虫
  
  A獣生肉由来など
    旋毛虫,ウエステルマン,宮崎肺吸虫

・一般的な症状
 嘔吐,下痢,腹痛,発熱などのごくありふれた急性胃腸症状で風邪と症状が似ているため鑑別が難しく,
 ほとんど,目立たないものから入院をようするものまで様々ですが,血便を伴う場合は注意が必要です。
 下痢や嘔吐が進行して,脱水症,無尿,血尿,意識障害,ショック症などで食中毒とわかることがあります。
 

・食中毒の処置と消毒

どのような病原体がふくまれているかわからないため,嘔吐物は一刻も早く処置するひつようがあります。
標準的な手順は,ペーパーや布などに染み込ませてふき取り,破棄する。可能な限り,ふき取った後.
消毒薬にて消毒をすることが大切です。


処置の際の予防策として・・・
1.嘔吐物に触れる際は手袋を着用する。
2.衣服に飛び散る事が予想される場合はガウンを着る。
3.顔面に飛び散る事が予想される場合はマスクを着用。               
4.処理を行った際,手洗いを必ずする。

 消毒薬の使い方
消毒の前に有機物の物理的な除去がまずは第一になります。
病原体と消毒対象によって推奨される消毒薬はことなります。
一般に,細菌にたいしてはほとんどの消毒薬が有効です。
一方,食中毒の原因ウイルスの代表であるノロウイルスは,エタノールの効果が低いといわれていますが,
まったく向こうでもありません。

     消毒対象と消毒方法の例

消毒対象 細菌 ウイルス(ノロウイルスなどエンベロープの無いもの)
床,床頭代,オーバーテーブル,洗面台,ベッド柵 以下の消毒薬で清拭
0.2%塩化ベンザルコニウム液
0.2%塩化ベンゼトニウム液
0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシ液
0.005%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウム
アルコール製剤
トイレ内(便座・フラッシュバルブ・水道ノブ・ドアノブ) アルコール製剤で清拭
ベッドパン(便器) フラッシングディスインフェクターで90℃1分間で蒸気消毒,または下記の消毒薬に30分間
0.1%塩化ベンザルコニウム液
0.1%塩化ベンゼトニウム液
0.1%塩酸アルキルジアミノエチルグリシ液
0.05%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウム
0.05%(500ppm)〜0.1%(1000ppm)
次亜塩素酸ナトリウム
リネン 熱水洗濯(80℃10分間),または十分洗浄した後,下記の消毒に30分間
0.1%塩化ベンザルコニウム液
0.1%塩化ベンゼトニウム液
0.1%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液
0.05%(500ppm)〜0.1%(1000ppm)
次亜塩素酸ナトリウム