SARS   

重症急性呼吸器症候群

( Severe Acute Respiretry Syndrome)

SARSの可能性が疑われる場合は
ず近くの保健所に電話で相談して
指示を受けてください。
連絡先一覧


SARSとは  経緯  原因   症状   伝播確認地域   潜伏期間   治療  予防

補足(ウイルスと細菌はどうちがう?) 
 最近のSARS関連ニュース  リンク

SARSとは 

香港、ハノイでの発生から世界十数ヵ国で広がりをみせている呼吸器疾患です。
 現時点では、日本国内でのSARS患者の発生は確認されていません。

経緯

2002年11月 中国・広東省で異型肺炎が報告されました。2002年11月〜2003年2月までに305人が発症し5名が死亡したと当初WHOには報告されていました。

2003年2月下旬 上海・香港等を旅行したアメリカ人が、ベトナム・ハノイで体調を崩して入院し、3月上旬約20人の入院先の医療スタッフが同様の症状を示しました。また同時期に香港の病院の医療スタッフ約20人が同様の症状を示した報告がありました。

2003年3月15日 WHOが緊急旅行勧告を出し、その中でSARSの定義を示しました。この時点では原因不明、抗生物質が効かない、死亡例が出ている、医療関係者を中心に罹患している、他国へ拡がっているという特に緊急事態でした。

2003年4月2日 WHOより他国への感染拡大を防止するため、香港、広東省(中国)への渡航延期勧告が出されました。

2003年4月3日 「感染症法」における「新感染症」として取り扱われることになりました。
(注):新感染症 感染症法で定められている疾患は1〜4類に分かれているが、新感染症は1類感染症(エボラ出血熱等)に準じた扱いとなる。

原因

原因は今まで人体から発見されたことのない新型コロナウィルス(SARSウィルス)であると公式に確認されました。感染経路は感染した人の唾液や鼻水等による飛沫感染の可能性が高いといわれています。

                                  

症状

〈感染が心配される場合〉
 ア 38度以上の急な発熱がある。
 イ せきや息苦しさなどの呼吸器症状がある。
 ウ 10日以内に伝播確認地域に渡航したか、渡航した方と接触した。

ただし、この3点をすべて満たしても、肺炎所見・呼吸困難を認めなければ重症になることはありません。
実際に発病した時の症状としては38度以上の高熱、咳、呼吸困難。さらに頭痛、筋肉硬直、食欲不振、下痢などを併発する場合もあるそうです。

WHOによるSARSの一般的な三段階の症状では、
最初の週に高熱や筋肉痛そのほかが見られ、数日後に一旦改善が見られるが、第二週に感染力の強い時期がやってきて、高熱がぶり返したり下痢や呼吸困難がある。この後20%くらいの患者は第三段階の劇症肺炎に進行し呼吸補助が必要になるそうです。

WHOの症例定義(4訂版・2003年4月8日現在)では、
200211月1日以降に、
(1)38度以上の急な発熱
(2)
呼吸困難感などの呼吸器症状
    の全ての症状を示して受診した患者で、かつ、

(1)
発症前10日以内に、原因不明の重症急性呼吸器症候群の発生が報告されている地域に旅行した者
(2)
発症前10日以内に、原因不明の重症急性呼吸器症候群の症例を看護・介護するか、同居している    か患者の気道分泌物、体液に触れた者、のいずれかを満たす者」
    を「疑い例」としています。
             
                


伝播確認地域

WHO(世界保健機関)が公表している伝播確認地域は下記のとおりです。(平成15年5月26日現在)

 トロント(カナダ)、北京・広東省・河北省・湖北省・
 内モンゴル自治区・吉林省・江蘇省・山西省・陜西省・
 天津(中国)、香港、台湾、 シンガポール(シンガポール)

なお、伝播確認地域は、WHOホームページ上で適宜更新されています。  
* WHO(世界保健機関)ホームページへのリンクは http://www.who.int/csr/sars/en

  〈伝播確認地域へ行かれる方は〉

伝播確認地域への不要不急の旅行は取りやめることをお勧めします。どうしても行かなければならない場合は、まず「手洗い・うがい・マスク」等の標準的な予防策を行い、目・鼻・口をさわる時は清潔な手でさわるようにしましょう。そして、体調を整えておくことも重要です。十分な栄養と睡眠をとることを心がけましょう。
また、SARS伝播確認地域から帰ってきた方と一緒に過ごすことで感染するのでは?と心配される事も考えられますが、現在までに分かっている情報では、特に症状のない場合は、人にうつす可能性は少ないと考えられています。行動制限も特に必要ありません。(現時点では、潜伏期間中に他の人にうつさないとは、はっきりと証明されてはいません。)
外務省のホームページでは、伝播確認地域に関する渡航関連情報を随時提供していますので、参考にしてください。
* 外務省のホームページへのリンクは http://www.pubanzen.mofa.go.jp/


潜伏期間

潜伏期間は、およそ2〜7日です。
これまでの報告から、体の変化に注意が必要とされる期間は、10日間です。その期間を過ぎても症状がない場合は、発病の可能性が少なくなります。

治療

現時点では、対症療法(呼吸管理等)が中心です。 ステロイド、リバビリンの投与などさまざまな治療法が試みられていますが、現在のところ確立したものはないようです。
患者さんの
8090%は、自然に治癒していきます。

〈検査〉

現時点では、SARSそのものの診断をすることはできないので、いろいろな検査によって、他の疾患の可能性を除外していく方法をとっています。具体的には、胸部X線検査、血液・尿検査、喀痰検査、菌培養検査などを行います。

〈受診の際は〉

・まず近くの保健所に電話で相談して指示を受けてください。連絡先一覧
医療機関にかかる時はSARSへの感染を心配していることを、あらかじめ電話で伝えてください
・そのうえで、マスク等の感染予防をして外出するようにして下さい。
・受診する際は、以下の事項を伝えてください。
  ア
滞在した地域   滞在期間   ウ SARSの患者さんとの接触の有無
症状がないときにはあまり心配する必要はありません。症状が出たら早めに受診するようにして下さい。


予防

感染源となるSARS患者と接触する機会が少ない一般の人においては、花粉症やインフルエンザの予防に用いられている通常のマスクの着用が、十分とはいえないもののSARS患者からの飛沫感染予防の効果があり、実際的な方法であると考えられます。また、手洗い、うがいをまめに行う事も重要です。
なお、N95マスク、外科用マスクは、医療現場において患者に濃厚に接触する医療従事者等が、特殊な場面での使用のために製造されているものであり、日常生活で一般の人が用いるには、呼吸が苦しくなり、実用的ではありません。

  消毒について】

 この消毒例はSARSの「疑い例」あるいは「可能性例」が確認された場合に、家庭や職場での消毒について記載したもので、現時点での情報ですので変更されることがあります。(H15年5月26日現在)
 家庭や職場での消毒を行う際にはエプロン、マスク、ゴーグルなど個人的な防御を行った上で行うことが望まれます

* ここで使用している家庭用漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムが成分である塩素系の漂白剤(5%濃度)のことです。(例:ハイター、キッチンキレイキレイ)

居間・食事部屋

【対象】

ドアノブ・窓の取手・照明のスイッチ・ソファー・テーブル・椅子・電話機・コンピュータのキーボードとマウス・小児の玩具・床・壁など

【方法】

100倍に希釈された家庭の漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水99)で完全に拭く (最終濃度0.05%)
・特に手などが触れる部分は、50倍に希釈した漂白剤(家庭漂白剤1に対して水道水49)を使用する。(最終濃度0.1%)その後「から拭き」をする。

台所とトイレ

【対象】

水道の蛇口・シャワーヘッド・浴槽・洗面器・ドアノブ・窓の取っ手・照明スイッチ・排水溝・水洗便器と流水レバー・便座とフタ・汚物入れ・壁・床など

【方法】

・便器
100倍に希釈された家庭の漂白剤とトイレブラシを使ってきれいにする。その後、水を流す。
・浴槽や洗面台
100倍に希釈された家庭の漂白剤と通常のブラシを使ってきれいにする。その後、水でよくすすぐ。
・排水溝
100倍に希釈された家庭の漂白剤を注ぐ。5分間経過したら、水を流して排水する。

その他
食器・衣類・寝具

【方法】  

「疑い例」あるいは「可能性例」の患者が着ていた衣類や寝具については、衣類・布団や枕のカバーは熱湯消毒(80℃、10分以上)してから洗濯機にかける、熱水洗濯を行う。
または、10-100倍にうすめた家庭の漂白剤(最終濃度0.5-0.05%)で清拭または30分間浸漬。




補足

ウイルスと細菌はどう違う?

 病気を引き起こすものはいろいろありますが、細菌とウイルスが2つの大きな原因になっています。どういう違いがあるのでしょうか?

 細菌というのは、よく「ばい菌」とも言いますが、自分で細胞を持っています。人間に病気を引き起こす細菌は、人間の体の中に入ると、人間の細胞に取り付きます。細菌は、この細胞に取り付き、細胞の栄養を吸い取って、代わりに毒を出して細胞を殺してしまいます。栄養を吸い取った細菌は、自分が分裂して、仲間を増やしていきます。
 一方、ウイルスは細菌よりずっと小さく、自分で細胞を持っていません。ほかの細胞に入り込まなければ生きていけないのです。ウイルスが人間の体に入ると、細胞の中に入り込み、その細胞に、自分のコピーを作らせるのです。細胞の中で自分のコピーが大量に作られると、やがて細胞は破裂して死んでしまいます。破裂したとき、細胞の中から大量のウイルスが飛び出し、ほかの細胞に入り込みます。こうしてウイルスが大量に増えていくのです。

  細菌の場合は自分の細胞を持っているので、抗生物質といって細菌の細胞を攻撃する事ができる薬を造る事ができます。細菌をやっつける薬を造ることができます。ところがウイルスには細胞がありませんから、抗生物質でウイルスをやっつけることは困難です。 ウイルスを攻撃しようとすると、ウイルスが入り込んでいる人間の細胞を壊してしまう恐れがあるからです。

 人間は、生まれつき病気と戦う力を持っています。人間に悪さをするウイルスが人間の体内に入ってくると、人間の体はウイルスと戦い始めます。鼻水を出して水でウイルスを外に出そうとしたり、セキやくしゃみでウイルスを吹き飛ばしたりします。
 ウイルスは熱に弱いので、体がわざと高い熱を出してウイルスをやっつけようとします。病気になると高い熱が出るのは、このためなのです。
 また、ウイルスと戦うことで、人間の体はウイルスの型を記憶します。ウイルスの型がわかると、次に同じ型のウイルスが体内に入ってきたときに簡単にやっつけることができるようになります。これが「免疫ができた」ということです。いわば、体の健康を守る体内の「おまわりさん」が、悪いウイルスの手配写真を持って見張るようになるのです。

 新型肺炎は、新型のコロナウイルスが原因と見られています。まったく新しいウイルスなので、人間は新型ウイルスの免疫を持っていません。このため、次々に病気になる人が出ているのです。
 またウイルスなので、薬を造るのはむずかしいのです。
 しかし、新型肺炎でも、病気にかかった人の90%以上は、自分の力で治っています。病気と戦う力があるからなのです。
 日本ではまだ新型肺炎の患者が発生していませんが、もし新型肺炎が日本国内に入ってきたときのためにも、「病気と戦う力」は大切です。しっかり食事をして、規則正しい生活をすることが、「病気と戦う力」をつけるために必要なのです。



最近のSARS関連ニュース

患者の1割に後遺症 新型肺炎で香港当局

【香港10日共同】
 香港の衛生当局は10日、新型肺炎(SARS)に感染して回復した患者の1割はエックス線撮影すると肺に影が残り、せきが続くなど生活に支障をきたす後遺症の例があることなどを明らかにした。
 75人の臨床結果を分析すると、感染して最初の1週間でウイルスが体内で繁殖。その後、感染者自身の免疫システムで体内に抗体が生まれるものの、同時に肺の機能が損傷する。そして肺機能が衰え、人工呼吸器が必要になるという。
 肺の損傷が始まった段階で抗ウイルス剤リバビリンなどを投与する従来の治療法は、約2割の患者に効き目がないため、当局はさらに効果的な治療方法を研究する必要があるとしている。(共同通信)
[511123分更新]

新種ウイルスは消毒液が有効 WHO研究
(略)通常のコロナウイルスは、常温だと体外に排出されてから数時間で死滅するが、SARSウイルスは2日間生存した。下痢患者の便では4日間生き続けた。通常の便や尿の中でも2日間はウイルスが生存した。一方、エタノールやホルムアルデヒドなどを含んだ消毒液で消毒すると5分以内に死滅した。今回の研究結果は、患者の飛沫で汚染されたドアやエレベーターのボタン、汚水のしぶきなどから感染が広がる可能性を示しており、WHOは「感染の防止には、手洗いやこまめな消毒が欠かせない」と指摘している。(毎日新聞)

基準満たさない感染者も うつす可能性否定できず(5月7日)
38度以上の発熱がないなど、新型肺炎(SARS)の診断基準を満たさない人でも、原因となるSARSウイルスに感染しているケースがあることが、6日分かった。国立感染症研究所(東京都新宿区)で開かれた、全国地方衛生研究所の担当者者向けの検査講習会で、感染研の感染症情報センターの谷口清洲第一室長が報告した。谷口室長は「他人にうつすという証拠は無いが、可能性は否定できない。病気の性質を詳しく把握するためにも『疑い例』や『可能性例』の患者から広く検体を集めて検査を行う必要がある」としている。 谷口室長によると、ウイルスが検出されたのはベトナムの男性。微熱程度の症状しかなく世界保健機関(WHO)が定義した「疑い例」の基準よりも軽症だった。だが、検査ではSARSウイルスが検出されたという。
河北新報 http://www.kahoku.co.jp/news/2003/05/2003050601000481.htm



リンク

大阪府ホームページ(府内各保健所へリンク有り)
http//www.pref.osaka.jp/kan-nan/boueki/sars_hp/newpage1.htm
厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0318-1.html
国立感染症研究所感染症情報センターホームページ
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

WHO(世界保健機関)ホームページ
http://www.who.int/csr/sars/en

CDC(米国疾病予防管理センター)ホームページ
http://www.cdc.gov/ncidod/sars
厚生労働省検疫所(海外渡航者のための感染症情報)ホームページ
http://www.cdc.gov/ncidod/sars




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