塩減

 

1.    高血圧の食事療法は減塩

塩分に含まれるナトリウムをとりすぎると、体がナトリウム濃度を薄めようとして大量の水を取り込みます。すると、体液の量が増え、心臓の負担が増し、血圧が上がります。したがって、高血圧の食事療法の中心となるのは、まず減塩です。また、その他には、食べ過ぎによる肥満も高血圧の誘因になります。とりわけ、脂質の多い動物性脂肪の過剰摂取は、動脈硬化を促進し、高血圧を誘発しますので、注意しましょう。血管の弾力を保つためには良質のタンパク質を摂取することも重要です。

 

ポイント

(1)   減塩

まずは塩分をひかえましょう

(2)   カロリーコントロール

食べ過ぎによるカロリーオーバーは肥満を招き、高血圧の原因になります

(3)   良質のタンパク質摂取

血管を構成するタンパク質をとる

 

2.    塩分摂取の目標

高血圧の食事療法では、1日の塩分摂取量を6gに制限するのが理想的です。現在、日本人の1日の塩分摂取量は、平均して約11gですから、これまで塩分を意識してこなかった人には、かなり高いハードルです。地域によっても食生活が異なり塩分摂取量は変わります。日頃から塩分を意図的にひかえましょう。

 

3.    気軽に減塩

減塩をてっとり早く実行するには、日頃よく食べている食品の塩分量を知り、そのなかで、とりわけ食塩を多く含むものを除くことからはじめましょう。たとえば、梅干し1個(10g)には2g程度の食塩が含まれています。また、塩さんま1尾には5g前後の食塩が含まれています。そこで、減塩するなら、梅干しをやめると2g減塩でき、塩さんまを生さんまに変えてレモン汁をかけるなどすれば、5g近い減塩が可能になります。まず食塩の多い食品を避けることからはじめ、徐々に減塩していきましょう。

 

ポイント

(1)   減塩しょうゆなどの減塩食品を活用する

(2)   漬物や味噌汁、塩分の多い汁物は避ける

(3)   練り物、缶詰、ハム・ソーセージなどの加工食品は避ける

(4)   下味をつけずに食べるときに味付けする

 

4.    料理を一工夫して減塩

減塩を進めるには、味付けや料理法を工夫する必要があります。たとえば、調味料として使用する食塩はカリウムやマグネシウムなどのミネラルを含む天然塩を使用することもよいでしょう。また、塩をひかえた分、だしのうま味を多くしたり、たれのあんかけを利用して味が舌に残りやすくするなどしてください。さらに厳密な減塩を行うには使用する調味料を計量して料理を行うことも必要です。

 

ポイント

(1)   食塩は精製塩より天然塩でミネラルを合わせてとる

(2)   みそ汁やスープはだしをきかせ、塩をひかえて具を多くする

(3)   酸味や種実のコクでうま味をつける

(4)   香りのある野菜やスパイス、香辛料で味を強くする

(5)   あんかけやたれ焼きで、舌に味を残す

(6)   調味料は計量して管理する

 

5.    ナトリウムを追い出すカリウムを摂取

カリウムやナトリウムは、ミネラルといって生命の維持に欠かせない栄養素です。人体では、カリウムは細胞の中に、ナトリウムは細胞の外に多く存在し、お互いに一定のバランスをとっています。食事からのナトリウム摂取が増えても、カリウムを十分にとっているとカリウムが細胞内に取り込まれ、その結果、ナトリウムは追い出されて血圧の上昇を防ぐことができます。カリウムは野菜やくだものに多く含まれています。

 

6.    好みの味を1品加え、減塩ストレスを軽減

減塩を徹底することが大きなストレスにつながることもあります。そのストレスから、つい味の濃いものを食べてしまったりします。そうしたことを防ぐために1品だけを少量、好みの味のものを添えることも減塩を続ける秘訣です。いつもよりやや薄味だけど、好きなものが食べられる、量は少しだけれどもいつもの味が楽しめるようにします。

 

ポイント

(1)   みそ汁はみその分量はいつもどおりにして量を半分にする

(2)   梅干しは塩抜きして1個にする

(3)   塩さけを少量のご飯にまぜる

(4)   しらすをおひたしに少量のせる

 

高血圧の食事療法の中心は、減塩です。上手に減塩し、血圧を良好にコントロールしましょう。