歯周病

  歯は,歯肉や歯槽骨,歯根膜などの「歯周組織」に支えられています。
  この歯周組織に炎症が起こり,徐々に壊されていく病気が「歯周病」です。
  進行すると,歯槽骨が溶け,歯を失うこともあります。
  歯周病は,歯の表面や歯と歯肉の間に,「プラーク(歯垢)」が付着して起こります。
  プラークは,口の中のさまざまな細菌が集まったもので,その細菌が出す毒素や
  有害物質によって,炎症が生じたり,歯槽骨が溶けたりします

  歯周病は,早い段階では,自覚症状がほとんど現れませんが,次のようなサインが
  あれば,早めに歯科を受診してください。
   〇起床時に口の中が粘つく
   〇歯磨きで出血する
   〇歯の隙間に食べ物がはさまるようになる
   〇口臭
   〇歯がしみたり,ぐらぐらする

  ●歯周病の進行と治療

      


  *歯周ポケットとは・・・歯に付いたプラークを放置すると,プラークが徐々に
        歯と歯肉の隙間に入っていき,できた溝のこと。 
軽い歯肉炎 初期の歯周炎 進んだ歯周炎
 歯周ポケットの深さが
 歯根にまで達して
 いない状態。
歯周ポケットが,歯根の1/3程度のまでの深さになった状態。歯肉の炎症が広がって,歯根膜がむしばまれ,歯槽骨も溶け出してきます。 歯周ポケットがさらに深くなった状態。歯肉の炎症がより悪化し,歯槽骨の破壊が進んで,歯がぐらついて,抜け落ちることもあります。
 治療:正しい歯磨きと
       スケーリング
 歯周ポケットや歯の
 隙間にたまったプラーク
 や歯石を取り除く。
治療:局所麻酔をして,歯肉を切開してめくり,歯の表面だけでなく,歯肉に隠れていたプラークや歯石を取り除く。 治療:GTR法
歯肉を切開してめくり,プラークや歯石を取り除き,その後,歯肉と歯槽骨の間に「遮蔽膜」を入れて歯根膜や歯槽骨を再生させる。半年〜2年ほどで再生する。

 
●歯周病と全身の病気の関係

 口の中に悪い菌が増えていくと,それらがのどから気管支,そして肺にまで
 入り込んだり,歯ぐきの中の血管に潜り込んで,血液とともに心臓や子宮の臓器へ
 運ばれていったりすることがあります。
 血管に細菌が付着すると,動脈硬化が起こり,脳卒中狭心症心筋梗塞
 起こりやすくなります。  
 心臓に入り込むと,感染性心内膜炎の原因になることもあります。
 重症の糖尿病の人は,免疫がおちているので,歯周病になりやすくなっています。
 また,歯周病菌により,インスリンがうまく働かなくなり,血糖値が上がってしまうという
 報告もあります。
 他にも,歯周病は肺炎低体重児出産の原因になることもあります。