骨粗鬆症とは?
骨の量(骨量)が減って、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。骨折は、脊柱(背骨)、大腿骨(太ももの骨)、あるいは、橈骨(手首から肘にかけての親指側の骨)に多くみられます。
正常な人は骨形成と骨破壊が同じスピードで起こりますが、この病気の人は骨形成より骨破壊が多くなり骨量が減っている状態といえます。
寝たきりの原因の第3位が、骨粗鬆症による骨折となっています。
骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)
骨塩量の平均値(*1)に対する割合
判定
80パーセント以上
正常
70〜80パーセント
骨量減少(*2)
70パーセント未満
骨粗鬆症
* 1:若年成人(20〜44歳)の平均。
* 2:この段階でも脊椎の圧迫骨折や手足の骨折があれば、骨粗鬆症と診断されます。
骨粗鬆症になりやすい人
骨量は、20歳前後で最大(ピーク・ボーン・マス=最大骨量)となり、その後、40歳後半までほぼ一定の値を維持し、50歳前後から減少します。女性は、もともと骨が細いうえに、閉経によって女性ホルモンの分泌が減ることにより男性より骨粗鬆症になりやすいです。他には、運動不足、やせ過ぎ、遺伝、妊娠、胃切除をした人、甲状腺機能亢進症などの病気のある人は骨粗鬆症になりやすいといえます。
予防
骨を強くする3原則は、食事・運動・日光浴です。
骨量が最大となる若年期に、骨量をより多くしておくことが大切です。
食事
成人におけるカルシウムの1日所要量は600mgとされていますが、骨粗鬆症の予防には800mgのカルシウム摂取が理想です。成長期の若い人や骨粗鬆症の危険のある人は1000〜1500mgが必要です。カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄色野菜、海草などに多く含まれています。
腸でのカルシウムの吸収を良くするために、ビタミンDをとることも大切です。
また、ビタミンKも骨代謝を改善します。その他に塩分の取りすぎやコーヒーの飲みすぎは、カルシウムの排泄を増加させます。喫煙、アルコールの取りすぎも骨量の減少につながります。
カルシウムの多い食品
食品名 |
100g当たりの |
1回使用量 |
1回当たりの |
パルメザンチーズ |
1300mg |
大さじ1(6g) |
78mg |
チェダーチーズ |
740mg |
1切れ(20g) |
148mg |
プロセスチーズ |
830mg |
1切れ(20g) |
166mg |
ブルーチーズ |
590mg |
1切れ(20g) |
118mg |
カマンベールチーズ |
460mg |
1切れ(20g) |
92mg |
スキムミルク |
1100mg |
大さじ2(12g) |
132mg |
エバミルク |
270mg |
大さじ2(34g) |
92mg |
低脂肪乳 |
130mg |
1カップ(210g) |
273mg |
プレーンヨーグルト |
120mg |
1/2カップ(105g) |
126mg |
普通牛乳 |
110mg |
1カップ(210g) |
231mg |
干しえび |
7100mg |
大さじ1(8g) |
568mg |
煮干し |
2200mg |
10尾(15g) |
330mg |
桜えび(素干し) |
2000mg |
大さじ2(6g) |
120mg |
まいわし丸干し |
440mg |
2尾(30g) |
132mg |
どじょう |
1100mg |
10尾(80g) |
880mg |
わかさぎ |
450mg |
中5尾(75g) |
338mg |
しらす干し |
520mg |
大さじ1(5g) |
26mg |
ししゃも(生干し焼き) |
360mg |
2尾(40g) |
144mg |
オイルサーディン |
350mg |
1/2缶(50g) |
175mg |
しじみ |
130mg |
1/2カップ(20g) |
26mg |
凍り豆腐 |
660mg |
1枚(20g) |
132mg |
油揚げ |
300mg |
1/2枚(10g) |
30mg |
がんもどき |
270mg |
1/2個(50g) |
135mg |
きな粉 |
250mg |
大さじ1(6g) |
15mg |
生揚げ |
240mg |
1/2枚(75g) |
180mg |
木綿豆腐 |
120mg |
1/3丁(100g) |
120mg |
おから |
100mg |
1/2カップ(50g) |
50mg |
絹ごし豆腐 |
43mg |
1/3丁(100g) |
43mg |
納豆 |
90mg |
1パック(50g) |
45mg |
大豆(水煮) |
100mg |
1/2カップ(70g) |
70mg |
干しひじき |
1400mg |
大さじ2(10g) |
140mg |
まこんぶ(素干し) |
710mg |
5cm角1枚(1.5g) |
11mg |
切り干し大根 |
540mg |
1/3カップ(10g) |
54mg |
小松菜(生) |
170mg |
1/3わ(100g) |
170mg |
かぶの葉(生) |
250mg |
1株分(50g) |
125mg |
大根の葉 |
210mg |
1/3本分(50g) |
105mg |
おかひじき |
160mg |
1/2パック(50g) |
80mg |
菜花 |
150mg |
1/3束(70g) |
105mg |
チンゲン菜(生) |
100mg |
1株(100g) |
100mg |
春菊 |
90mg |
1/3わ(70g) |
63mg |
五訂日本食品標準成分表による
ビタミンDの多い食品
食品名 |
100g当たりの |
1回使用量 |
1回当たりの |
しらす干し |
61μg(2440IU) |
5g |
3μg(120IU) |
さけ(生) |
22μg(880IU) |
1切れ(100g) |
22μg(880IU) |
めかじき(生) |
11μg(440IU) |
1切れ(100g) |
11μg(440IU) |
かれい(生) |
13μg(520IU) |
1切れ(100g) |
13μg(520IU) |
うなぎの蒲焼き |
19μg(760IU) |
1串(100g) |
19μg(760IU) |
ほししいたけ(どんこ) |
17μg(680IU) |
2枚(6g) |
1μg(40IU) |
いさき(生) |
15μg(600IU) |
1尾(100g) |
15μg(600IU) |
さば(生) |
10μg(400IU) |
1切れ(100g) |
10μg(400IU) |
さんま(生) |
19μg(760IU) |
1尾(100g) |
19μg(760IU) |
いわし(生) |
10μg(400IU) |
中1尾(50g) |
5μg(200IU) |
卵黄(生) |
6μg(240IU) |
1個分(18g) |
1μg(40IU) |
ほんまぐろ(脂身・生) |
18μg(720IU) |
1切れ(50g) |
9μg(360IU) |
天然ブリ(生) |
8μg(320IU) |
1切れ(80g) |
6μg(240IU) |
かつお(生) |
9μg(360IU) |
1切れ(50g) |
4.5μg(180IU) |
五訂日本食品標準成分表による
運動
適度な運動で骨が刺激されると、体内に入ったカルシウムが有効に使われ、骨量が増えることがわかっています。
骨を強くするための運動は、重量挙げのような負荷の大きい運動ほど有効ですが、ふつうは散歩や家事で毎日こまごまと動くことでもじゅうぶんです。
散歩なら1日30分間、2キロメートルを歩くくらいでじゅうぶんです。
運動によって、筋肉も強くなり、身のこなしがよくなるので、転倒による骨折の防止もできます。
足や腰が痛くて歩けない人も簡単な体操でじゅうぶんです。その体操を最後に紹介しています。
日光浴
カルシウムの吸収に欠かせないビタミンDは、人間の皮膚が日光の紫外線を浴びることでつくられます。ただ、日焼けするほど浴びる必要はありません。夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度の日光浴で十分です。
ガラスは紫外線をあまり通さないため窓越しの日光浴では効果はのぞめません。1日中家の中にこもりきりの人は、食事でじゅうぶんなビタミンDを取りましょう。
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治療薬
<骨の吸収を抑える薬>
女性ホルモン・カルシトニン・ビスフォスフォネート・イプリフラボン
<骨の形成を助ける薬>
ビタミンK2
<吸収と形成を調節する>
ビタミンD・カルシウム剤