貧血症

貧血とは
貧血の検査
貧血の症状
貧血の治療
食事のポイント
貧血Q&A

  貧血とは?

貧血とは、血液中の赤血球あるいはヘモグロビンという血色素が減少している状態をいいます。赤血球の中にあるヘモグロビンは体のすみずみに酸素を供給する役割をしているので、貧血になると、体のあらゆる部分が酸欠状態になり、いろいろな症状が現れます。
原因は様々で、次のように分類されます。

1、鉄欠乏性貧血

鉄分の足りない食事
慢性の胃疾患により鉄が吸収されにくい
月経、妊娠、分娩、授乳

2、溶血性貧血

赤血球の寿命が短くなり、生産が追いつかない

3、再生不良性貧血

赤血球を作る骨髄が障害をうけ、働きが衰え、赤血球が十分に作られなくなる

4、悪性貧血

血液細胞をつくるのに必要なビタミンB12や葉酸が不足する

5、腎性貧血

腎臓の疾患があり、赤血球のもとになる細胞をつくるエリスロポエチンが不足する

6、失血性貧血

手術、外傷による出血
痔や胃潰瘍、子宮筋腫による出血

貧血の背後には、重い病気があることもあるので、「貧血かな?」と 思ったら、病院で適切な検査をうけ、どのタイプの貧血なのかを明らかにすることが大切です。

  貧血の検査

貧血の検査は、血液検査によってわかります。 健康診断や献血の際の血液検査でも調べてもらえます。

代表的な検査項目

検査項目

基準値

赤血球

男性430〜570万個/mm3、 女性390〜520万個/mm3 

ヘモグロビン

男性13.5〜17g/dl
女性11〜15g/dl

ヘマトクリット

男性40%〜50%
女性35%〜45%

 ヘマトクリット…血液全体に占める赤血球の割合を示した値



貧血の症状

                                                                                   

顔色が悪い、まぶたや耳、爪が白い                                
 血液の色素であるヘモグロビンが不足することで
 皮膚にまで血液が行き渡らないためです。                 

疲れやすく、動悸、息切れがする
 酸素不足のためわずかな運動でも疲労しやすくなります。

めまい、立ちくらみ、頭痛
 脳に酸素が十分行き渡らなくなると起こります。

爪が薄く、割れやすい
 縦に筋が入ったり、外側に反ってしまうとかなり進んだ鉄欠乏 性貧血です。

その他
 食欲がない、吐き気がする、物が飲み込みにくい 口角炎になりやすい、硬いものを大量に食べたくなる、
肌がカサカサなど・・・
                                                                                                 

  貧血の治療

・鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血の場合まず食事療法。それでも改善されなければ、鉄剤で補給します。鉄剤を服用している間も食事療法は続けます。数値が改善しても、3〜6ヶ月は鉄剤の内服を続け、貯蔵鉄を正常化させます。

貯蔵鉄とは…体が蓄える貯金となる鉄のことです。 肝臓、脾臓、骨髄に蓄えられていて、体内で鉄が不足すると、まずこの貯蔵鉄が使われます。

・溶血性貧血

先天性のものは、過剰に赤血球を壊してしまう脾臓を手術により切除する方法がとられます。後天性のものは、ステロイド剤で治療します。

・再生不良性貧血

軽症…たんぱく同化ホルモン剤で造血機能をたかめます。
中等症・重症…免疫抑制剤で造血幹細胞を攻撃しているリンパ球の働きを抑えます。
重症…骨髄の造血幹細胞移植

・悪性貧血・巨赤芽球性貧血

骨髄で赤血球が作られる際に必要なビタミンB12や葉酸の補給をします。

・腎性貧血

腎臓で産生、分泌されるエリスロポエチンの補給をします。

  食事のポイント 

《鉄欠乏性貧血》
鉄分と動物性たんぱく質をしっかりとろう!
鉄分には、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄の方が腸での吸収がよいのです。
また、動物性たんぱく質は、ヘム鉄が有効に利用されるのを助け、非ヘム鉄を吸収しやすくする作用があります。

鉄の吸収を良くする食品を一緒にとろう!
ビタミンC:鉄を吸収されやすい形にかえます。
酢っぱいもの、辛いもの:胃酸の分泌を高め、鉄の吸収を良くします。

1日3食、規則正しい食事をしよう!
ダイエットで偏ったメニューにしたり、朝食を抜いたりせず、バランスの良い食事をすることが基本です。
また、ゆっくり良く噛んで食べると、胃酸が分泌され、鉄分の吸収が高まります。 

《悪性貧血》
ビタミンB12、葉酸を摂ろう!
血球を造るのに大切なビタミンです。ビタミンB12と葉酸はお互いに補い合ってはたらいているので、どちらも不足しないようにするのが大切です。

鉄を
多く含む食品

たんぱく質を
多く含む食品

ビタミンCを多く含む食品

ビタミンB12を多く含む食品

葉酸を
多く含む食品

レバー
貝類
緑黄色野菜
大豆
ひじき

肉類
魚介類

乳製品

ブロッコリー
小松菜
じゃがいも
かんきつ類

レバー
肉類
青皮魚
カキ
卵黄

レバー
緑黄色野菜
ピーナッツ
アーモンド

  

  貧血Q&A

Q;鉄剤を飲んでいるときは、お茶は飲まないほうがいいの?

A;コーヒー、紅茶、緑茶には鉄の吸収を悪くする『タンニン』が含まれています。
実際はどの程度影響するのかはっきりしていませんがなるべく控えるほうが良いでしょう。

Q;鉄剤にも副作用はあるの?

A;最も、多い副作用は消化器系の症状で、ムカムカしたり、吐き気がすることがあります。さらに便秘や下痢になることもあります。
また、便の色が黒くなることがありますが、問題はありません。
いずれにしても、自己判断で服用を中止せず、医師に相談して下さい。

Q;どうして妊娠すると貧血になりやすいの?

A;妊娠すると、血液の総量は30%〜50%増加しますが、それに対してヘモグロビンの産生が追いつかず、貧血になります。 また、鉄分や、葉酸の必要量が増加するのも原因のひとつです。