ゴルフ場が法的整理を申請した場合、いつからの売買をもって「損益通算」の対象になるのかならないのか?。国税庁(倒産ゴルフ場に関する)の見解として、基本的には売却損による損益通算は、「預託金+プレー権」が新経営会社(スポンサー等)に継続されることを条件としております。
再生計画案等により、法的整理前の旧預託金が数パーセントでも残り、尚且つ、プレー権(優先的利用権)が継続されれば問題なく、売却損による税金の還付が受けられるというものです。
下記、「ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期」の解説は、法人会員をメインにしておりますが、カッコ内のただし書きに記載通り、「更生手続や民事再生法の規定による再生手続においては開始の決定があったことをもって、ゴルフ会員権が金銭債権に転換すると解することはできません」とあります。
この文面からも、更生手続や民事再生法の開始決定日ではなく、計画案の決定日をもって時期を判断しているものと解釈できます。
つまり、ゴルフ場の再生条件(再生計画案の内容)によって、”問題有り”、”問題無し”と判断されるという意味で、前述の条件、「預託金+プレー権」がどのような形になるかで、損益通算が可能なゴルフ場か否かを判断する訳です。
よって、更生手続や民事再生法の開始決定がなされても、計画案が認可決定されるまでの間は売却損による税金の還付を受けることができます。何故なら、この時点ではまだ、「預託金+プレー権」が存在しているからです。勿論、認可決定後でも前述の条件がクリアされていれば、その後の売却による損益通算も可能ということです。
※あくまで個人的な見解ですので、ご意見があればメール下さい。
↓↓↓ ここからが国税庁の解説
国税庁 掲載元 URL=https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/09/04.htm
【照会要旨】
ゴルフ会員権のゴルフ場経営会社について破産手続開始の決定があり、貸倒引当金の計上を検討していますが、ゴルフ場施設は裁判所の許可を受けて当分の間営業することになる場合、当該ゴルフ場に係る会員権は、いつの時点で実質的に金銭債権に転換するのでしょうか。
【回答要旨】
原則として破産手続開始の決定があった時点で、ゴルフ会員権は実質的に金銭債権に転換すると考えられます。
(理由)
ゴルフ場経営会社に破産手続開始の決定があった場合は、通常、財産保全の一環として施設は閉鎖され、会員は、破産債権として届け出た預託金債権の範囲内で配当を受けることになります。
照会のように、裁判所の許可を受けて当分の間営業することになる場合であっても、破産手続は清算型の倒産処理手続であり、事業の廃止を前提としていることからすれば、破産手続開始の決定があった時点でゴルフ会員権は実質的に金銭債権に転換すると解されます。
なお、破産手続と同様に清算型の倒産処理手続である会社法の規定による特別清算手続において、ゴルフ場経営会社に特別清算の開始決定があった場合にも、その決定があった時点でゴルフ会員権は実質的に金銭債権に転換すると考えられます。
ただし、再建型の処理手続である会社更生法の規定による更生手続や民事再生法の規定による再生手続において、ゴルフ場経営会社に更生手続開始の決定や再生手続開始の決定があったことをもって、ゴルフ会員権が金銭債権に転換すると解することはできませんのでご注意ください。
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ゴルフ場について会社更生法の申立てがあった場合のゴルフ会員権に対する貸倒引当金の計上
参照元 URL=https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/09/01.htm
ゴルフ場経営会社につき会社更生法の規定による更生手続開始の申立てが行われた場合、更生手続は再建型の倒産処理手続であり、経営の継続を前提としており、会員契約は通常その手続の中では解除されないことからするとゴルフ場経営会社につき会社更生法の規定による更生手続開始の申立てが行われた場合でも、退会しない限りゴルフ会員権は金銭債権としての性格を有しているとはいえませんので・・・以下略
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関係法令通達】
法人税法第52条
法人税法施行令第96条
破産法第30条
会社法第510条
会社更生法第41条
民事再生法第33条
注記
平成22年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
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