帯広国際カントリークラブ(北海道中川郡幕別町千住427、TEL0155-56-3225)を所有・経営する(株)帯広国際(同住所、山田英和社長)は12日、ゴルフ会員権の預託金を「永久債」に転換することにし、会員に通知する文書を送付した。
現在は管内を中心に約2000人の会員がいるが、最近はゴルフ人気に陰りが見られ、毎年発生する会員資格保証預託金の償還が経営を圧迫していた。
今後は総額約9億円の預託金の償還には応じず、優先プレー権を主体とした会社清算時までの永久会員とする。十勝管内のゴルフ場で預託金を永久債に転換するのは同社が初めて。
同社は1974年に55万円、77年に75万円、90年に200万円、91年に220万円の預託金が伴う会員権を発行。預託金は一定期間(概ね10年)が経過すれば、申し出に応じて返還していた。
ゴルフ人口の減少や高齢化などを受け、売上高は90年代前半のピーク時(6億5000万円)から半減。毎年3000万〜4000万円の預託金償還が発生し経営を圧迫、コースの補修費もかさんでいた。同社によると、現在までに償還済みの預託金は金額ベースで60%、人数ベースでは25%に上る。
このため同社の取締役会、会員で構成する帯広国際CCの常任理事会と理事会が10月上旬までに開かれ、将来的な経営破綻(はたん)を回避する措置として「永久債化」を承認した。
新制度の概要は、
(1)預託金の返還時期は会社清算時とし永久会員に移行、
(2)会員権の譲渡は従来通り可能とし、会社としても譲渡希望には協力する、
(3)永久会員のサービス内容を充実する、
(4)220万円と200万円の預託金は(市場の相場に合わせて)4分割して譲渡可能にする、
(5)預託金の償還請求には原則として応じない、
・・・・の5点。永久会員へのサービス向上は今後決める。
会員に送付した文書では、「数年後には預託金の償還で預金が底をつく可能性が極めて高く、最悪の場合、倒産に陥る可能性もある」と説明している。21日午後6時から、同CCで会員向け説明会を開く。
同社は「全国的に会員権商法のビジネスモデルが破綻し、当社も厳しい状況が見込まれた。倒産で会員権が紙くずになるのを避ける措置。譲渡希望には協力し、会員権相場を下げないようにしたい」と理解を求めている。
全国的には、民事再生法や破産などの法的整理、経営再建を目指すゴルフ場で預託金制度の見直しが進んでいる。帯広国際CCの利用者は「経営内容が十分に分からない中での判断。会員の支持を得られるのかどうか」と話している。
帯広国際カントリークラブ
1973年、帯広市内の経済界が中心となり帯広国際を設立。翌74年、帯広国際CCがオープンした。幕別町千住の丘陵を生かした27ホール。道東では唯一のプロの大会である「道東オープン選手権競技大会」の開催地。年間利用者は約3万7000人。
→ 永久債について(参考資料)
→ 預託金の永久債化を採用した27コースの傾向・動向
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平成23年4月28日 追加
預託金を「永久債」に転換することに、8割近くの会員が同意した模様。
反対会員(個人12名、法人2社)は、預託金の返還を(株)帯広国際に求め提訴、4月14日に和解が成立。預託金の全額を分割で返還する内容のようだが、詳細は不明。
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