旧会員の申立で破産となった(過去の経緯)(株)津ゴルフ倶楽部の破産管財人(渡邉一平弁護士=TEL052-221-1313)が、樹王カントリークラブ(18H、旧・津GC、津市)を占有していた(株)ケー・エス・シー(名古屋市、以下KSC)を8月28日に強制執行で排除し、管財人の管理下の元で翌日から同ゴルフ場を閉鎖していることが分かった。
同ゴルフ場は、(株)津ゴルフ倶楽部が平成2年にオープン。預託金の10年延長を決議し、返還請求訴訟が起きたところで、(株)津GCは13年5月にゴルフ場の営業権をKSCに無償譲渡し、その翌年6月には所有権も譲渡していた。
同ゴルフ場は14年8月から樹王CCの名称で営業されており、旧会員に対しては移行料の納付でプレー権を継承していた。
これに対し旧会員は「守る会」を結成。KSCに対して所有権移転登記の抹消と、備品の引き渡しを求めた訴訟を行い、17年1月の名古屋地裁で勝訴した。さらに、同会員らは(株)津GCの破産申立てを行い、17年9月14日付けで(株)津GCに破産宣告が下った。
破産管財人は会員の訴訟を継承し、KSCによる不当占有をやめさせゴルフ場を返還させると報告。
その後、18年2月24日に最高裁で土地所有権が(株)津GCに帰属することが確定したが、KSCが引き渡しを抵抗した他、ゴルフ場引き渡しに関する訴訟が長引き、管財人側にゴルフ場を取り戻せないでいた。
今回の強制執行により、管財人は警備会社に依頼してゴルフ場内に部外者を入れないよう管理している。但し、ゴルフ場の売却に関しては9月19日に開かれた債権者集会では具体的な報告はなく、管財人事務所でも「まだ何も決まっていない」として、営業再開時期も未定という。
業界関係者によると、ゴルフ場の売却に関し今春、外資系企業が2億円前後で打診したらしいが、管財人は5億円の提示で成立しなかったといわれる。
現在コース管理は債権を保有する外資系企業関連のゴルフ場運営企業が担当しているといわれ、有力スポンサー候補の1社のようだ。
一方、守る会の代理人によると、「管財人は1〜2ヶ月以内にも競争入札でスポンサー(買受先)を決める意向のようだが、利害関係者が多く、裁判が続いている段階でスポンサーが付くのかどうか。守る会ではスポンサー案も含めて検討しており、現状は様子を見ている」と話している。
いずれにしろ、津GC問題はゴルフ場が管財人の管理下となったことで、5年間プレーする場所を追われた旧会員のとっては大きな前進となった。
但し、今度は(株)津GCの債権者ではない樹王CCの会員がプレー権を認めるよう動き始めるなど、まだ解決すべき課題が多いようだ。
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