カラ岳陸上地区での新空港建設によって石垣島ゴルフ倶楽部が今年8月末に閉鎖されるのに伴い、経営する石垣全日空リゾート株式会社(柴田光彦代表取締役)が会員権を額面の金額で補償する考えを示しているのに対して、会員の一部が「会員権の売買相場で補償すべきだ」として損害賠償の訴えを起こす準備を進めている。
原告は30人程度になる可能性があるという。同社は「ゴルフをするためという会員権購入の趣旨からして、額面での補償が妥当」と述べ、訴訟が提起された場合でも額面通りでの補償を主張する考え。
同社や会員らによると、会員権の額面は販売時期によって35-240万円の幅がある。提訴を準備している会員らは、額面の最高額が240万円であることや、「会員権の取引相場では250万円でも売り手が出ないことがあった」と主張し、250万円での補償を訴える。
会員権の補償は、会員権を取得するために支払った預託金を返還することによって行われる。同社は今年2月下旬、会員にゴルフ場の閉鎖を知らせる文書を送り、会員権を額面通りの金額で補償する方針を伝えた。
これに納得できない会員の一部が先月中旬、「ゴルフ場の閉鎖に伴う損害として会員権相場(250万円)以上を賠償することを申し入れる」などと要求した。同社は先月下旬、額面通りでの補償に理解を求める文書を再度送った。
額面45万円の会員権を240万円で購入したという男性は「ゴルフをする権利を奪われることを慰謝する意味でも損害賠償すべきだ。購入額と補償額に200万円以上の差があるのに、全日空側に話し合いに対する誠意が感じられない」と話す。
妻とともに会員権を1口ずつ持つ一方、売買目的でもう1口所有する男性は、同社が2000年に会員名義を書き換えられないようにする決定をしたことにも不満を示し、「(額面での補償は)一方的だ」と話す。
額面90万円の会員権を額面通りに購入した別の男性は「全日空側が県から受け取る金額も分からない状態なのに、会員権の補償は額面通りと言われても納得いかない」と話した。
県によると、用地買収などによって同社が受け取る金額はまだ提示されていない。 同社は「会員権自体はプレーするためのもの。投機的なものもあるが、ゴルフのプレーをしたいという会員権購入の趣旨からして、額面での補償が妥当。(額面で購入したケース以外は)会員権がいくらで売り買いされているのかゴルフ場側には分からない」と、額面通りでの補償に理解を求めている。
同社によると、石垣島GCの会員権は600人余りが所有する。 ゴルフ場会員権の補償をめぐり、会員の一部が提訴の準備を進めていることが分かった石垣島ゴルフ倶楽部。カラ岳陸上地区での新空港建設によって、8月末に閉鎖される。
|