預託金を納めて手に入れたゴルフ会員権を個人が売買して得た利益は税務上、譲渡所得に含められる。その一方、譲渡所得が赤字になった場合は、給料や事業所得などと損益通算できることになっている。
ところが、プレー権が消滅している場合には譲渡所得に含めることはできず、その赤字分についても、給料などほかの所得と損益通算することは認められない。つまり、ゴルフ会員権では、プレー権の有無が税金面で恩恵を受けるためのポイントになってくるわけだ。
ゴルフ会員権をめぐるこれまでの税金トラブルとしては、売買を偽装するようなものを除くと、ゴルフ場のコースが競売にかけられたケースや、ゴルフ場の経営権が新しい経営陣に譲渡された際、既存会員権のプレー権が契約上引き継がれていなかったケースで、税務署が「プレー権なし」と判断したケースがほとんどだ。
また、ゴルフ場がいったん破たんして再生するケースについては、プレー権の保証を前提とした民事再生法の手続きに入るケースが取り沙汰された程度だった。
民事再生法は、債権の一部切捨てを行って会社を存続させ、債権者で話し合ってゴルフ場経営会社を立て直していくという和議法のスタンスに、裁判所という「お目付け役」などが付いたもの。
国税庁サイドでは、「民事再生法に基づき預託金債権が切り捨てられた場合でも、ゴルフ場経営会社自体が存続しており、プレー権が存在していれば譲渡損失の損益通算は可能」としていた。
プレー権が消滅した会員権の損益通算は不可と裁決・判例
ところが、ここへきて裁判所から破産宣告を受けたゴルフ場が、外資系ファンドの力を得て再生への道を歩み始めたケースが出現。このケースでは、管財人が既存会員のプレー権を保証する条件でスポンサー探しを行い、意中のファンドを射止めたという。
今後、このケースと同様の再生手法を探るゴルフ場も増えてくるものとみられ、税務上の取扱いが注目される。焦点は、いったんゴルフ場が破たんしても、プレー権は存在するものとして認められるかという問題だ。
これについて当局では、「契約でプレー権がはっきり新しい経営陣に引き継がれているなら、破産宣告があったとしても通常のゴルフ会員権として扱える」という見解を示している。
国税庁の見解(損益通算できるゴルフ場、出来ないゴルフ場)詳細
↓↓↓ 平成20年11月19日追加
基本的には、「プレー権+預託金返還請求権」が継続されれば、「損益通算」は可能と判断しているようで、単なる「プレー権」(預託金100%カット)のみのゴルフ会員権は、税務署では承認されないようである。
↓↓↓ 平成24年8月27日追加
国税庁・預託金が100%カットされたゴルフ会員権の譲渡損による損益通算も可能に
|