英語インタビュー試験専門校 Thesaurus House
テソーラスハウス 15周年記念パーティ&講演会のお知らせ
テソーラスハウスは、今年15周年を迎えました

テソーラスハウスの皆様、これから入学される皆さまへ


小林先生、テソーラスハウスの皆様、設立15周年記念おめでとうございます。

私は10年前の卒業生の大久保晶光と申します。現在、勤務先であるJICA(独立行政法人国際協力機構)からの派遣で、アメリカにいます。昨年夏から1年間はアメリカの法律を学ぶため、ニューヨーク州にあるコーネル大学ロースクールの修士課程(LL.M.)で勉強し、今年の5月に卒業しました。今はワシントンDCに移動し、世界銀行等で研修を受け、来年2月に帰国する予定です。

このたびの設立15周年記念に際し、小林先生から卒業生の一人として現在の様子を報告するようにお話をいただきました。私自身は皆様に何かを申し上げる立場にはまったくないのですが、テソーラスで英語を勉強したこと、英検1級に合格したことが、私のその後の歩みに影響を与えたことも事実だと思いますので、同じテソーラスで今がんばっている、またはがんばった方々に、何かのご参考になるのであればということで、ご報告させていただきます。

コーネル大学ロースクールでプレゼンテーションを行う大久保さん
コーネル大学ロースクールでプレゼンテーションを行う大久保さん

転職浪人だった英検を受けた頃


私が英検1級を目指していた10年前は大学卒業後就職した証券会社を1年で辞め、転職活動をしていた20代半ばの頃でした。大学生の頃から何度か受験していた英検1級でしたが、結局合格できないまま就職。転職浪人した機会を活かし、予備校で勉強することにしたのです。

勉強している最中に幸いにもテレビ局から内定をもらい、転職先は決まったので、その後は英検1級に力を注ぎました。テソーラスで鍛えていただいた甲斐があり、入社直前に合格できたことは大きな喜びでした。


テレビ局からJICAに再度の転職


その後テレビ局に入り、九州でアナウンサーとして仕事をしました。すばらしい方々と取材で出会いながら、テレビやラジオの放送に直接携わるということは得がたい経験でした。また言葉を伝えることの難しさ、楽しさを知ることができました。

しかし、2年経った頃から、海外と日本を結びつける仕事をしたいという気持ちが強まってきました。英検1級を目指したのも、英語を使って外国、特にアジアと日本を結ぶ仕事をしたいと漠然と考えていたからだということを思い出しました。テレビ局ではなかなかそれは実現できないなと感じ始めていた頃でした。

そんな時、JICAの社会人採用(中途採用)の制度を知りました。国際協力という分野であれば英語を使いつつ、アジアとの関係も直接持てるようになる、と考え、受験を決意しました。しかし、2回転職するということは、社会的信用という点からよくないのではとも、ずいぶん悩みました。結局、JICAの試験の結果が出てから2度目の転職をするかどうか決めようと考えました。

JICAの面接では転職の動機など、様々なことを聞かれましたが、テソーラスに通って英検の受験をしたこと、そして結果として英検1級を取ったことは、面接においてプラスに評価されたと思います。私のように帰国子女でもなく、留学経験のない者にとっては、語学力を証明するために、何か客観的なものがあると助かります。そして英検1級は、とてもインパクトのある資格なのだとその時実感しました。

結果私はJICAから内定をもらい、どうするか考えましたが、自分の正直な気持ちは国際的な仕事をしたいことだと判断し、テレビ局を円満退職させていただきました。29歳のときでした。


JICAでの法律との出会い、そしてアメリカ留学へ


JICAに入って最初の2年半は、名古屋で海外からの研修生のための研修コースを運営する業務を担当しました。その関係で中国やネパール、カンボジア等にも出張する機会が与えられました。

その後、東京の本部に異動し、今度はJICA全体の法務を担当することになりました。まったく意外な配属でした。法学部卒とは言え、学校ではどちらかというと政治学の方に関心を持っていた私は、ゼロから民法、著作権法、労働法等、仕事に関係ある法律を勉強し、JICAの各部署から寄せられる質問について調査し、回答する仕事に従事しました。英語との関係はほとんどなくなりましたが、自分が勉強したことが他の部署の役に立つという実感を得られ、充実した日々でした。そしてビジネス法務検定2級という資格試験にも挑戦し、合格することができました。

JICAには職員のための留学制度がありますが、私の上司もかつてアメリカのロースクールに留学し、ニューヨーク州の弁護士資格を取っていました。そして私も彼のようになりたいという思いが次第に強まりました。というのも、JICAが海外で事業を展開する過程で、様々な法律問題に対応する力を養う必要を感じていたからです。

当時私は34歳でした。JICAの制度上はぎりぎりの年齢でしたが、幸いにも派遣が許され、昨年の夏からコーネル大学ロースクールへの留学が許されました。


英語で苦しんだロースクールでの日々


コーネル大学はニューヨーク州北部にあるイサカ市という小さな田舎町にある学校です。大都会であるニューヨークシティからはバスで5時間かかる場所です。でも、私は自然に恵まれた環境で勉強したかったので、コーネルに入れたことは幸いでした。

英検1級を持ち、そしてTOEFL等でもそれなりの点数を取っていた私は、不遜にも「英語は何とかなるだろう」と思っていましたが、コーネル大学での授業の初日からその思いは吹き飛びました。

まず教授の言っていることが早すぎてわからない。そしてこちらの大学は教授が学生をどんどん指名して発言させますが、そのやりとりになると全くお手上げ。更に毎日数十ページ出される判例を読むのに時間がかかる。がんばって発言や質問しても、言いたいことが言えなかったり、教授に怪訝な顔をされたり。苦しい日々が続きました。

しかし所定の単位をとり、卒業するために何とかがんばりました。1年の努力の末、卒業式に臨めたときの喜びは大きかったです。

また勉強だけではなく、世界中から集まった留学生と交流できたことも私の宝です。特に韓国や中国からの留学生と出会い、たくさんの友人を持つことができました。アジアとの関係を深めたいと考えていた私の夢が、図らずもアメリカで実現することができました。

8月からはワシントンDCでの研修が始まり、世界銀行等の援助機関の制度について勉強しています。今後も法律の勉強を続け、JICAが世界各国で援助事業を行うにあたり、法的紛争を回避し、より効率的・効果的な援助ができるよう、還元したいと思っています。

コーネル大学ロースクール修士課程の修了式で
コーネル大学ロースクール修士課程の修了式で


結び


私は自分が転職を2度もしたことは余りかっこうのいい事だとは思っていませんし、できれば早い段階で自分のやりたいことがわかり、迷いや悩みがなく人生が歩めればそれに越したことはないと思います。しかし、実際にはなかなかそのようなことは難しいと思いますし、少なくとも私の場合は、JICAに入るまでは迷いや悩みだらけだったと思います。

問題は、迷いや悩みがあった場合、どのように対応するかという点だと思います。英語の力が足りないことが自分自身への不満である場合は、英検1級に挑戦し、自分の力を高め、合格することによって達成感を得ると言うことは一つの解決方法だと思います。

また、仕事が自分に合っていない、あるいは今はいいけれど将来違うことがしたい、という思う場合は、慎重さを持ちつつも、何が自分の満足につながるのか、情報を集めたり、友人に相談して考えたりするのも一つの方法だと思います。JICAについても、私は自分の将来について相談した、信頼する友人から教えてもらったことが転職につながりました。

それから自分が関心を持つこと、興味を持つことを、人の目を気にせずに、大切にすることも重要だと思います。例えば、会社を辞めて、英検の勉強をしていた私を見て「いい年をして仕事もせずに何をやっているのか?」と思う人もいたと思います。しかし私は英検1級を取りたかった。その思いを無視しなくてよかったと思います。

日本と海外、日本とアジアを結ぶ仕事をしたいという私を、「地に足がついていない」と思う人もいたかもしれません。しかし、私は本当にそう思っていたのです。その気持ちに正直になってJICAへの転職の決断をしたことは、やはりよかったと考えています。

自分の夢や希望をあきらめる際には、どれだけでも理由をつけることができると思います。例えば年齢が上だ、もう遅い、周りの人は誰もそんなことはしていない、恥ずかしい、時間がない。。。。しかし、自分の夢や希望はすぐにはかなわなくても、それにつながることは小さなことから始められると思います。そして始めるための理由づけは簡単です。つまりシンプルに、「自分はこれをやりたいから、やる。」ということです。何かやりたいことがある、ということはとても貴重でありがたいことだと思います。そのやりたいことに向かって、小さな勇気を持って、一歩踏み出せば、何かが確実に変わる。そしてそれはもちろん、いい方向に変わる、と私は思います。

テソーラスの皆様は、すでに英検1級を受けるためにテソーラスに行く、という一歩を踏み出され、決して簡単ではない試験に挑戦されていらっしゃいます。私も10年前そうでした。その時に一歩踏み出した小さな勇気を忘れずに、私もこれからも皆さんと同じように、がんばって行きたいと思います。

これからのテソーラスハウスのご発展と、皆様のご活躍を心からお祈りしつつ、この拙文の結びとさせていただきます。

2005年9月 大久保晶光(1995年卒業)




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