[必読]日中国交文献集●●





まえがき    目 次(「1 日清修好条規と台湾出兵」の全文を閲覧することができます)  




日中国交文献集

竹内実+21世紀中国総研編
A5判 474頁 定価2,940円
2005年4月刊行


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◆台湾征伐から靖国神社参拝問題まで。130余年の文献を収録する。
◆宣戦――講和条約。戦争をめぐる文献が饒舌におしゃべりを始める。
◆「政冷経熱」。今のような時代こそ、しっかり基礎を勉強しよう。





  「中央大学 2005年度 入学試験問題」に『日中国交基本文献集 下巻』竹内実編が引用されました。




まえがき



 中国との関係が冷えこんでいる。
 輸入も輸出も、日本の対外貿易で首位を占めるにもかかわらず、その中国との関係が、よそよそしい。
 「政冷経熱」。
 世間には「嫌中感」がひろがっている。
 ワールド・サッカー、アジア杯の試合が、昨年、中国でおこなわれたさいの、サポーターの日本チームにたいするブーイングは残念だった。
 七月に、済南でヨルダン、重慶でイランと日本チームは対戦した。すでに済南で、ブーイングがはじまっていたようであるが、とりわけ重慶では激烈だった。イランにたいし、全面的、圧倒的な声援をおくり、日本が得点すると、ブーイングだった。
 実況を報道するアナウンサーは配置されていず、テレビの画面が淡々と試合の経過を放映するだけだったが、しだいに場内の雰囲気が音声をつうじて伝わってきた。異様な雰囲気に気づかされた。
 「正視歴史向亜洲人民道歉還我釣魚台」
 ――歴史を正視し、アジアの人民に謝罪し、われわれの釣魚台を返還せよ。
 という横断幕が観客席に出現した。釣魚台とは尖閣諸島のことである。
 北京でおこなわれる八月の中国チームとの対戦が危惧された。
 中国政府も事前の啓蒙や当日の警備に神経をつかった。
 当日は国歌演奏のさいブーイングがあり、「南京大虐殺 三〇〇〇〇〇人 中国必勝 三対〇」という横断幕があらわれたという。横断幕はすぐに警戒中の警官が没収してビリビリにひきさき、男を連行したという。
 試合終了ののち、会場の北京体育館のかたわらで、日本の国旗に火をつけたり、日本の公使の公用車に土足でよじのぼったりしたサポーターがいた。この光景も、テレビは放映した。
 ただし、市内は平穏で、報道ステーションは食堂でビールを飲みながら、静かに観戦している市民をうつした。しかし、中国は「反日」だ、というぜんたいとしての印象は消えなかった。
 歴史的経緯があり、それが懸案となっている。
 歴史的な懸案を、おもちゃにたとえるのは不見識であるが、わかりやすくいえば、おもちゃ箱をひっくりかえしたように、洗いざらい、懸案がならべられているのだ。一つ一つに、いいぶんがあって、それを解きほぐそうとすれば、「いいわけ」になり、相手にとっては「いいのがれ」、詭弁にしかきこえない。
 個人としては対応の方法がない。
 ただし、突破口がないわけではない。それぞれのひとの見識と智恵が、突破口をみいだすだろうが、その一つに、歴史をふりかえるという突破口があるだろう。
 歴史はまだ終わっていない(といえるだろう)。
 歴史が自分(歴史じしん)を完結したものとして示すということはありえないから、われわれは解決困難な懸案を示されるだけかもしれない。
 しかしながら、歴史にちなむ素材には場所、いわゆる史跡、モノ、いわゆる遺品がある。歴史の旅、歴史への旅をすすめたい。
 さらには文書、文献というものがある。これを読み解くことによって、結論とまではいかなくても、結論(らしきもの)のヒント(思いつき)はえられるはずである。
 そこで、これも一つの突破口として本書を刊行する。
 十二年まえに文書、文献の基本的なものを集めて刊行した本(『日中国交基本文献集』上、下巻、一九九三年一、二月刊)に削除と補足をくわえたものである。
 こちらの政府と相手の政府が、なにを現状としてみとめ、なにを将来に向けて約束したか、これによって知ることができ、つまりは、歴史に直面する手がかりになるはずである。
 
 〈文書、文献はその時、その場所のものである。一定の読みかたがある。したがって時代が変わると、ひからびる。〉
 
 と、このように、初版の「まえがき」(一九九二・十一・二十五 朝)にしるし、さらに、つぎのように、のべた。
 
  〈時間が経過し時代が変ると、新しい読者があらわれ、彼および彼女は別の意味を文献に読みとる。
 かくて、死んだ文献が蘇生する。
 蘇った文献をつないでいくと、いままで暗闇に横たわっていた文献が、おしゃべりをはじめる。死んだ文献は、じつは饒舌多弁だった。〉
 
 このあとに「無声映画」をたとえにひき、こうのべた。
  
  〈文献は無声映画のようなものかもしれない。
 昔の映画は画面だけで、主なセリフは字幕だった。弁士というのがいて、面白おかしく話をつないでいった。文献にたいし弁士の役割をつとめるのは歴史家だったが、しかし、無声映画は画面そのものが観客に語りかけてもいた。
 文献は声なき画面である。しかし、蘇った文献は弁士の二役を兼ねる。〉
 
 旧版から十二年たって、この間にあらわれた文献をおさめてみて、わたしは十二年まえ、こんにちの北京体育館における五万人の観客のブーイングのような状況に直面しようとは、当時、夢にもおもわなかったことを、ここで告白しなければならない。
 やはり一つの時代が、ここにはじまったという兆候だろう。
 しかし、初版の「まえがき」の末尾に、こうもしるしていたのである。
  
  〈明るい未来があるよ、と叫ぼうが、困ったことになりそうだと嘆こうが、文献はしぶとく、死と蘇生をくりかえす。〉
 
 ものには陰と陽があり、陰と陽は交替、循環をくりかえす。ひとにも国にも波があり、高いのと低いのとが、いれかわってあらわれる。
 閉塞の状態は、いつまでもつづき不変なのではない。
 いまのような時代にこそ、しっかりと基礎を勉強しよう。
                                          竹内 実
                                    二〇〇五年三月七日夜






主要目次




まえがき
凡  例

1 日清修好条規と台湾出兵(全文を閲覧できます[pdfファイル])

大日本国大清国修好条規
日清両国間互換条款
日清両国間互換条款互換憑単

2 日 清 戦 争

清国に対する宣戦の詔書
日清媾和条約
日清媾和条約議定書
日清媾和条約別約

3 義和団事変

義和団事変に関する連名公書
義和団事変に関する最終議定書
義和団事変に関する最終議定書附属書
附属書第一号 清国皇帝の上諭
附属書第二号 醇親王独逸国差遣に関する上諭
附属書第九号 那桐の帝国派遣に関する清国全権大臣より帝国公使への来翰
       
附属書第十二号 損害賠償金支払に関する清国全権大臣より筆頭公使への来簡
附属書第十三号 借款還済表
附属書第十五号 匪徒鎮撫に関する上諭
附属書第十九号 謁見に付遵守すべき儀式覚書

4 日 露 戦 争

露国に対する宣戦の詔書
日露講和条約
日露講和条約追加約款
日清満洲に関する条約
日清満洲に関する条約附属協定
満洲に関する日清条約附属取極

5 対華二十一カ条要求

対独最後通牒
独逸国に対する宣戦の詔書
対華要求に関する加藤外相訓令
帝国政府の支那国政府に対する最後通牒
 最後通牒提出の際、在支日置公使より陸外交総長へ手交せる説明書
山東省に関する条約
南満洲及び東部内蒙古に関する条約

6 ワシントン会議――山東返還

二十一箇条問題に関する幣原全権陳述
山東懸案解決に関する条約
山東懸案解決に関する条約附属書

7 満洲事変と満州国建国

東方会議「対支政策綱領」に関する田中外相訓令
満洲事変に関する政府第一次声明
満洲国政府の建国宣言
満洲国執政溥義の関東軍司令官宛て書簡
日満議定書
満州国皇帝即位詔書

8 日 中 戦 争

停戦に関する協定(塘沽協定)
華北派兵に関する声明
盧溝橋事件に関する政府声明
中国共産党の抗日救国十大綱領
中国国民党の抗戦建国綱領
「国民政府を対手にせず」政府声明
「国民政府を対手にせず」補足的声明
事変一周年にあたり近衛首相に賜りたる勅語
内閣告諭号外
国民政府と雖も拒否せざる旨の政府声明
近衛声明

9 大東亜戦争

米国及び英国に対する宣戦の詔書
大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針
大東亜共同宣言
カイロ宣言
ヤルタ協定
ポツダム宣言
毛沢東声明:日本侵略者にたいする最後の一戦
蒋介石「抗戦に勝利し全国の軍民、および世界のひとびとに告げる演説」

10 敗  戦

大東亜戦争終結に関する詔書
マッカーサー元帥と天皇との会見録
年頭の詔書

11 日華平和条約

日本国と中華民国との間の平和条約
日本国と中華民国との間の平和条約議定書
日本国と中華民国との間の平和条約 合意された議事録

12 日中国交正常化

日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明
中華人民共和国政府日本国政府聯合声明
田中総理・周恩来総理会談記録
大平外務大臣・姫鵬飛外交部長会談(要録)

13 日中平和友好条約

日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約
日本国和中華人民共和国和平友好条約
昭和天皇とケ小平との談話
(一)人民日報報道
(二)朝日新聞報道
(三)毎日新聞報道
(四)入江相政日記

14 日中関係四原則

中曾根総理大臣の北京大学における講演
胡耀邦総書記の中日友好関係発展についての四つの意見

15 天 皇 訪 中

楊尚昆国家主席の歓迎の辞
楊尚昆主席在歓迎日本国天皇陛下和皇后陛下訪華宴会上的講話
天皇のお言葉
天皇陛下在楊尚昆国家主席挙行的晩宴上的答詞

16 歴 史 認 識

中曽根首相の胡耀邦総書記宛書簡
歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議
村山総理談話「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」
平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言
江沢民「歴史を鏡として、未来を切り開こう」
サンクトペテルブルクにおける小泉総理―胡錦涛主席会談(概要)
APEC首脳会議における小泉総理―胡錦涛主席会談(概要)









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