(1999.3.31.)
日本の放送の将来については、 既にディジタル化が始まっているCS放送に
続いてBS放送、地上放送のディジタル化スケジュールが示され方向性が明
らかになりました。 しかし、何故今ディジタル化なのかと言う、ディジタ
ル化が視聴者にもたらすメリットについては十分な説明が行われていないよ
うに思われます。
視聴者の意向を汲んで英国ではHDTVを捨て、地上放送多チャンネル化を政策
課題としています。 米国では衛星テレビ(CS+CATV、DBS)の普及を背景に、
地上TVディジタル化(DTB)の選択を市場に委ねています。
ところが日本では、視聴者をも巻き込んだオープンな議論を通じ、ディジタル
テレビ政策が形成された証拠がありません。今度こそ放送と通信の融合、さら
には広く情報通信各分野の融合が見え始めた時、1950年電波法を温存した
1952年体制の下、 政府と業界ののみの主導で放送ディジタル化が進められ
ることのないよう、心ある者は声を上げ、疑問と意見を出し合い、開かれた議
論を起こすべきだと考えます。
通信出身の私は、縁あってこの5年間国際情報メディアを勉強して参りまして、
情報通信について通信・放送・新聞・出版・情報処理など各界の皆様が共有す
る認識・展望・憂慮が、未来形に関しては必ずしも多くないのではないかと思
うようになりました。
この分科会の研究会から、SJICの会員有志ともども、各界の方々と放送の
デジタル化について問題を共有する場を育ててまいりたいと思います。
分科会代表幹事 高橋洋文