第55回定例会  5月10日於:情報通信総合研究所会議室
 
 
 
 

テレビデジタル化七つの神話

最近「放送人よ目を覚ませ地止液テレビの全デジタル化」七っの神話」を発表された林紘ー郎慶応
義塾大学教授をお招きし、氏の主張を伺って参加17名(会員12非会員5)で討議した。
以下要点を紹介する。

主張1「デジタルはアナログにとって代り、変化は直ちに家庭に及ぶ」としているが、これまですべてのメデイアはまずビジネスに使
    われやがて家庭に入って行った。今の時代にテレピを家庭の単体とみるデジタル化はダメだ。
主張2「放送は公共的なもので、市場原理になじまない」としているが、効率性あつての公共性である。言論の自由を謳っていれ
    ばお金がついて来る時代ではない。
主張3「DTBはユニパーサル・サービスである」と言うが、BSがあるのにDTBを全国画一的に推進する必要はない。ペイしな
    い地方局が出て来るのは仕方がない。
主張4「電波は優良資産であり、ハ−ドとソフいよ相乗効果をもたらす」ことは変わってきた。電波不良資産化の危険をさけるため
    ハード/ソフト分離でいくべきだ。
主張5「通信と放送サービスの線引き可能である」と未だにやっているが、メディア融合の時代に線引きに苦労するのは無意味である。
主張6「NHKと民放の並存体制は世界に冠たるものである」と言うが、NHKは視聴者を引き付ける番組を提供し、民放も負けず
    に頑張って環境変化に適応すべきだ。
主張7「独立行政委員会は日本になじまない」と言うが、電波監理委員会の悲劇は例にならない。独立行政委員会で規制を行うのが
    ワールド・スタンダードだ。
まとめて言えば、「デジタル化を放送の枠組みだけで考えることなく、1960年代のコンピュータ革命、1980年代の通信,/情報情報処理融
合に続く第3の情報革命と見るべきである」。

■講演後の質疑応答

Q:新しい放送ビジネスモデルについてのお考えは。
A:CNBC、MSNBC、BloombergNews などの先例に習うべきである。失敗したタイ ムワーナーのフルサーピス・ネットワーク実
 験などと違ったオフィス対応の小回りの利くべンチャーに注目すべきである。
Q:今後の光ファイパ通信の役割について
A:幹線は光ファイバ主軸・衛星補完で決 している。ラスト・ワン・マイルは需要次第 だが、有線.無線の競争を促進すべきである。
Q:かつてNTTのFTTH論はマーケティングに聞こえた。地域情報化に密接に関連するのは自治体、大学、マスコミである。高校
 野球と選挙が放送制度を決めている現実を考えると市場原理だけの議論ではデジタル化に対応できない。やはりNHKに頑張って欲しい。
A:地域情報化にっいては楽観している。
Q:BS/地止波のデジタル化線表が発表されたが、地方に負担能力があるのか。
A:シミュレ‐ションをすべきは地方局の社長だ。
Q:地上波デジタル放送のインパクトはプラスもマイナスもある。経営困難になると結局コンテンツに影響し、CATVがローカル局
を呑み込むことにもなる。アナログのままでも良いともなろう。

■ラジオ・テレビはイン夕ーネツトに飲み込まれるのか

研究会に参加した者は「メデイアの融合とは、コンピューターがすべてのメディアを呑み込ことか」「一つのメディアがさまざまな
機能を持つことがマルチメディアなら、それはどんなものか」「インターネット革命とは、ラジオとテレビの文化様式の総体をインター
ネットが飲み込むことか」など様々な思いで、次回を期待した。
                                                        (報告:高橋)


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