第52回定例会 1月29日:東京国際フオ−ラム
 
 
 
 

イン夕一ネツトのグロ一バリズムとロ一力リズム、そのオル夕ナテイブ

講師:伊藤英ー(KDDワイヤレス事業部衛星ピジネス企画担当部長)
司会:久保悌ニ郎

研究会テーマを伊藤氏は「情報社会の経済学--インターネットのグローバリズムとローカリズム」として展開した。
インターネットが国際通信インフラストラクチャーとして定着しだ感があるが、国際通信産業の観点からその問題点を提示。
1995年6月に、HTTPを用いたWWWのトラフィックが、インターネットの総トラフィックの60%を一挙にこえる激変の転機になった。
 このグローパルな情報インフラストラクチャーのコストこ関わるツケ(勘定)をだれが最終的に払うのかという問題に論及した。
かつて、技術的にも、運用面でも、比較的オープンであったインターネットは、その整備を米国国民の負担になる資金を投入していたにもかかわらず、米国外からの参加にも広く門戸を開放していたことは、特筆されることであった。
 もちろん、外部から接続されるネットワークに課される条件の一つに、外部側が接続にあたって、必要となる通信回線コストを自己負担するという原則であった。しかし、NSFNETが担っていたインターネットの基幹網(パックボーン)としての役割は、民間の複数の超高速基幹網サービス提供事業者(vBNS)に移行した後も、この原則がとられている。インターネットの回線費用は、接続させてもらう側が全額を負担している。
 かっての米国国民が負担した税金、寄付によってまかなわれていた時代のイメージあるいは錯覚をvBNSカ利用しているかのようだ。
インターネットのグローバル化が、もっぱら外国側ネットワークの費用負担によるというのも解せない話である。米国内の接続に伴う費用を負担させるというのは、インターネットの相亙接続にあたっての「お亙い様」の理念と、実際は大きく乗離している。
 米国に一方的に有利な費用分担方式が、米国内のコストをますます安くし、逆に外国側はコスト高にならざるを得ないという不平等な関係になっている。米国の独占的なハブの形成を一層助長している。
 このような構造にあるインターネットは、その利用が国境を越えて米国宛てあるいは米国経由がほとんどで7〜8割)、トラフィックが米国集中になっている。このことが、インターネットの回線費用等について米国が圧倒的に強い交渉カを持つに至っている理由だ。これら、情報の流れが米国への依存関係は、ネットワータを巡っての卑なる経済的な対米交渉力の低下といった問題だけではなく、情報資源のアンパランスといった問題を投げ掛けている。
 我が国においてもインターネット利用が日常的になり、様々な経済活動、社会活動、文化活動の基盤になってきていることを考えると、国家安全上の重要な問題として考えておく必要があるのではないか。また、ネツトワータのメリットを追求する様々なセクタ一での戦略が必要になる。 
                (報告:久保)


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